美剣士、凛
その17
陶玄斎は凛と尻の穴で繋がったまま、猛り狂ったかのように腰を
大きく振る。
「どうじゃ・・・、どうじゃ。よがってみいっ。」
締め付けてくる凛の尻の穴は陶玄斎にもよほど気持ちいいと見え
て、陶玄斎のほうがいきそうになってくるようだった。
「おおっ・・・。」
突然、陶玄斎が白目を剥いた。そのままどす~んと音を立てて後
ろに倒れこみ、両手で股間を押さえ込んでしまう。
「陶玄斎殿っ、どうなされたっ・・・。」
心配そうに、女忍びたちが駆け寄ってくる。
「く、苦しいっ・・・。」
陶玄斎のほうが今度は脂汗を垂らして悶え苦しんでいる。
その時、さっきから目を覚まして隙を窺がっていた弥太郎が目の
前に転がっていた忍びの太刀をくるりと身体を翻して後ろ手に持ち
上げ、同じく床に転がっている凛のほうへ投げ上げる。
「凛殿っ。」
凛のほうも不自由な身体をさっと翻すと、落ちて来る刃に背中の
戒めを差し出すように向ける。
スパッという音と共に、凛の両手首に食い込んでいた縄が切り落
とされる。
「あっ、しまった。」
女忍びたちが、気づいて床の脇差に手を伸ばそうとしていた時に
は、凛は既に足首の縄も、自由になった手の刀で、切り落としてい
た。
凛は真っ裸のままだったが、忍びの持っていた脇差を手にすくっ
と立つと全くの隙がなかった。真壁一刀流の構えに入る。
刀を手にしたほうの女忍びが刃を向けて走り込んできた。
カキーン。
鋭い刃当たりの音がして、忍びの刀が弾き飛ばされる。
「お、おのれっ。今宵はこれまでじゃ。」
くるりと女忍びは身を翻すと陶玄斎の両脇を抱えるようにして、
逃げ始めた。
「待ちやがれっ。」
自らはまだ縄の戒めのまま転がされている身の弥太郎が声を挙げ
る。しかし、忍びは懐から取り出した丸薬を床に投げつける。する
ともうもうと煙が立ち昇り、忍びたちの姿が見えなくなる。煙が薄
らいで見通しが利くようになった時には三人の姿は消え去っていた。
「凛殿、かたじけない。」
弥太郎は凛に縄の戒めを解いて貰いながら涙を浮かべる。
「弥太郎、そちこそ、よくやってくれた。あそこで上手く刀を投げ
てくれたので、何とか反撃に転じることが出来たのだ。」
弥太郎は刀を投げられた時の凛の身のこなしに改めて感じ入ってい
た。落ちて来る刃に背を向けて両手首を差し出し、縄だけに刃を当て
るなどは、余程の鍛錬を積んだ者にしか出来ぬ技なのだった。
「しかし、陶玄斎はあの時いったいどうしたのですか。」
「あれか・・・。あれは毒にやられたのじゃ。」
「毒ですと。」
「私の不浄の穴の中には、毒薬を塗りこめてあったのだ。それゆえ、
弥太郎。お前には猪豚の腸をつけさせ、毒が回らぬようにしておいた
のだ。」
続き