美剣士、凛
その6
壷の栓を取り、面の両側を掴むと、壷の中に反り返った鼻の先を
浸けこむ。どろっとした汁が天狗の鼻のまわりにまとわりつく。充
分かき回すように汁を擦り付けてから、汁を滴らせないようにゆっ
くり持ち上げ尻の割れ目を剥き出しにしている凛の後ろにしゃがん
で構える。
弥太郎は、この天狗の面の鼻ではなく、自分の今将に屹立してい
るモノを突き立ててみたい衝動にかられる。
天狗の鼻と、目の前に差し出されている無防備な凛の菊の座とを
交互に見つめ返す。
「り、凛様。こ、このような物を使って凛様を責めるなど滅相も
ないことでござりまする。・・・。せ、せめて、拙者のつたない男
のモノを使わせて頂く訳にはゆかぬものでしょうか。」
弥太郎は衝動を抑えきれずに遂にそう口に出してしまった。
「それはならぬ。」
凛からは思いもかけぬほど厳しい口調で返事が即座に返ってきた。
「ここは不浄の穴ゆえ、大事なそちのモノを挿れるなどもっての
他じゃ。おぬしのモノを穢す訳には参らぬ。決してならぬぞ。さ、
早く手にしたそれを突き立てるもじゃ。」
「か、畏まりましてござりまする・・・。」
弥太郎は未練がましく、凛の綺麗に締まった菊の座をもう一度じ
っくり眺めてから意を決する。
「ご免、つかまつりまする。」
そう掛け声をあげて、弥太郎は手にした天狗の面を凛の尻に向け、
反り返った鼻の先を凛の菊の座に押し当てる。
「いきまする。」
ぐいっと力を篭める。ずいきの汁で濡れているとは言え、するっ
とは入らない。
「うっくっ・・・。」
凛も堪らず呻き声をあげてしまう。
しかし、先っぽが尻の穴を一旦貫通してしまうと、その後は滑る
ように鼻の先から棹の半分までがするりと菊の座の奥へ埋まってゆ
く。
「ううっ・・・。」
弥太郎には、凛が、痛がっているのか、痒みに耐えかねているの
か判らない。或いは、もしや、よがり声を堪えているのではとも考
えてしまうのを一生懸命頭から振り払おうとする。
「や、弥太郎っ・・・。」
凛が苦しそうに声を掛ける。
「や、弥太郎。そちは、摩羅を今、膨らませておろう。よいか。
決してそれに触れてはならぬぞ。そして、精を洩らすことも、決し
てならぬぞ。よいな。」
いきなり見透かされてうろたえてしまう弥太郎だった。迂闊に手
を触れたりしたら、今にも暴発してしまいそうなほど、びんびんに
そのモノが膨れ上がり、反り返っている。
「あ、頭を冷して参りまする。」
やもたまらず、弥太郎はそう声を掛けると、肛門責めを耐える修
行の邪魔をしてはならじと道場を辞することにする。
廊下に出ると、山水の中庭の隅に筧から水が落ちているのをみつ
ける。そばには柄杓も置いてある。置石づたいに歩み寄ると、着物
の裾を絡げ、褌も外して摩羅をむき出しにすると、冷たい水を柄杓
で汲んで、おのれの股間にぶちまける。それでも収まる様子が無い
ので、柄杓の水を頭から被る。
「うっ。冷てえ。」
漸く、弥太郎は自分の摩羅が収まってくるのを感じた。
傍には手桶も置いてあったので、柄杓でそれに水を汲み、手拭い
を用意して何時でも呼ばれたら傍へ駆け付けられるように凛の居る
道場の入口に控えることにした。
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