美剣士、凛
その5
「早く手首に縄をかけよ。」
凛に促されて、仕方なく麻縄を凛の手首に絡めてゆく。
「解けぬようにきつくだぞ、弥太郎っ。」
「へ、へいっ・・・。」
初めに片方の手首に、次にもう片方の手首に縄を回すとそれらを
合わせて結び目を作る。
「胸にも回すのだ。要領はわかっておろう。」
手の自由を更に奪う為に、両手を縛った余りを胸の周りに回す。
乳房の上と下をそれぞれ縄を回して、手首を引き上げ、降ろせぬよ
うにするのだ。更に脇から縄を通して乳房の下を通した縄に掛け、
強く引いて胸を張らせる。罪人への常套の縛り方である。弥太郎が
上半身の自由をすっかり奪うと、凛はすっと腰を落とし胡坐座りに
なる。結跏趺座という本格的な座禅の形である。それをいとも容易
く手も使わずに組んだのだ。よほど座禅に慣れていることを窺がわ
せる。
「次は足首じゃ。両の足首を縄で繋ぐのだ。」
凛に命じられて縄の余りを持って、凛の前に立つ。すっと組まれ
た両の脛の向こうに漆黒の叢が見えてしまう。その下の女陰は脛に
隠れている。
「よ、宜しいのですか。」
再び唾を呑みこみながら、弥太郎は確かめる。
「よいっ。」
凛は弥太郎には目を合わさず、真っ直ぐ真正面を睨むように凝視
している。さすがに恥ずかしい気持ちが起こるのを抑えているよう
に思えた。
「では、ご免。」
そういうと組まれた凛の足首に手を伸ばしそこへも縄を回す。縄
を後ろに回す際に、どうしても凛の裸の下腹部に手が触れてしまう。
それを凛は微動だにせずに受け入れていた。両方の踝に縄を廻し、
結び目を作ると、もう自分では脚を解けない筈だった。
「余った縄を首に掛けよ。」
弥太郎にも、どうしろと言っているのかが直ぐにわかった。所謂、
座禅転がしという縛り方である。足首と首を身体の前で繋ぎ、動き
を完全に封じてしまう縛り方だ。これで転がされると、自分からは
起き上がることも出来ない。
言われたとおりに弥太郎が凛を縛り上げる。既に弥太郎の下腹部
は完全に勃起してしまって、気づかれぬようにそっと縛った凛の後
ろに廻ると、着物の裾から手をいれて、硬くなった肉棒をきつい褌
の横から出して解放してやる。褌から出されると、上に反り返って
天を向いてしまう。先端には先走りの汁が滴りそうになっている。
「弥太郎、後ろから突いて、私の頭を床に落とすのだ。」
「し、しかし・・・。」
「いいから、早くするのだ。」
「わ、判りました。」
しかし、いきなり小突くようにして倒す訳にもゆかず、弥太郎は
凛の裸の肩を掴むとゆっくり前に倒してゆく。凛が額を床に付ける
と、尻が持ち上がって、目の前にふたつの穴が露わになる。それは
弥太郎に取って初めてみる姿ではなかった。
人質の為に、敵の手に堕ち、裸に剥かれて同じ様に縄を掛けられ、
全く同じ体位を取らされた凛の姿を弥太郎自身も縛られながら目撃
している。その時、凛は敵の手によってこれ以上のことはないよう
な辱めを受けたのだった。
「こ、このようなお姿で、何を為されようというのですか・・・。」
弥太郎は精を放出してしまわないように着物の裾で膨らんだおの
れの摩羅を抑えながら訊いてみる。
「修行だ。自らを見失わぬ為の修行をするのだ。」
「しゅ、修行でござりまするか。」
「そうだ。だからこそ、この座禅道場をお借りしたのだ。弥太郎、
その麻の袋の中に縄とは別の物が入っておる。それを取り出すのだ。」
弥太郎が再び麻袋を手にして、袋の奥へ手を突っ込む。出てきた
のは栓をした小さな壷と、真っ赤な朱に塗られた大きな天狗の面だ
った。真ん中に弥太郎の膨らんだ摩羅にも見劣りしないほどの大き
さの鼻が天を向いて反り返っている。
「壷の中に、ずいきを擦った汁が入っておる。それをその面の鼻
にたっぷり塗りこんでから、不浄の穴に挿し込むのだ。」
弥太郎は、すぐに思い出していた。将に、その同じ責めを凛は敵
の手で受けたのだった。そしてその痒みの責め苦に耐え切れず、遂
には陥落して、敵の摩羅をせがむ言葉を言わされてしまったのだっ
た。その責め苦に耐え切れる自分を修行で鍛えようとしているのだ
と漸く弥太郎は悟ったのだった。
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