妄想小説
超力戦隊 オーレンジャー 樹里の危機
十九
その時何処からともなくナイフが飛んできて落ちようとしていたギロチンの刃の直ぐ下に刺さり、それがストッパーとなって刃の動きを止めた。
「だ、誰だあ・・・。」
思わずデクスターがそのナイフが飛んできた方向へ振り返る。そこにあったのはオーイエローこと二条樹里と、彼女に付き従うデッダー隊長の姿だった。
「お前、オーイエローっ。そしてデッダーが何故一緒に居るのだ。」
「デッダーはもうあの機械の洗脳から解かれたのよ。性欲も取り戻したし、貴方への忠誠心も消え失せたわ。」
「なんだと。あの機械をお前が扱ったというのか。そんな事が出来るわけ無い筈だが。」
「私の父がお前らの手に掛かって亡くなる直前に、私に古代サンスクリット語の教本を遺したのよ。私が幼い頃からそれでずっと勉強してたの。」
「そ、それで、あの教典を解読したというのか。」
「そうよ。パラノイア帝国が出来た歴史も、パラノイア人を征服して配下に治めた方法も全てあのサンスクリット語の教典を読んで知ってしまったわ。」
「くそう、何だと・・・。」
「あなたの悪事ももう終りよ。いま、洗脳から解けたデッダーの部下が次々とパラノイアの兵士の洗脳を解いているわ。そして解かれた兵士たちは皆、パラノイア帝国からの革命軍としてこちらに向かっているわ。」
「何だって。そんなことが・・・・。」
「オーブルー、オーグリーン。桃の枷を外してやって。」
同じく洗脳を解かれて樹里たちに加わったオーブルーこと三田裕司とオーグリーンこと四日市昌平も現れて、桃を救出する。
「ありがとう、樹里っ。私が間違ってたわ。」
「桃っ。これを穿きなさい。まさかノーパンのままじゃ、戦えないでしょ。」
そう言って樹里は桃にアンスコとショーツを手渡す。
「有難う。」
「そして、これが貴方のパワーブレス。」
「ああ、取り返してくれたのね。これさえあれば、もうあいつらなんかには負けないわ。樹里、私がデクスター達をやっつけるから、その間に隊長を救出して。」
「わかってるわ、桃っ。さ、行くわよ。」
「ええっ。観念しなさい、デクスター。」
デクスターが空を見上げると、パラノイア軍団の戦闘機が近づいてくる。その銃口はオーレンジャーたちではなく、明らかにデクスターの親衛隊の方を狙っている。
「まずいっ。俺は逃げるぞ。」
「総統、わたしたちはどうしたらいいのですか？」
「そんな事、自分で考えろっ。」
そう言うと、親衛隊を放っておいて、デクスターは一人その場を逃げ出そうとする。しかし、その行く手を阻んでいたのはオーピンク、オーグリーン、オーブルーの三人だった。
「もう逃げられないわよ、デクスターっ。」
「ふん。こんな事で捕まる訳にはゆかないのだ。いつか必ず復讐しに戻ってくるからな。」
そう言い残すとデクスターは岩陰に身を隠す。オーレンジャー三人がそちらに向かうと、岩陰から一台の超小型戦闘ロケットが飛び出してきて、あっと言う間に空高く舞い上がる。洗脳から解かれた革命軍のパラノイア兵士たちがその後を追うが、あっと言う間に置いて行かれてしまったのだった。
「樹里っ。いや、オーイエロー。よくやった。」
「隊長っ。我々もやっとオーレンジャーのチームワークを取り戻しました。もうデクスター達に負けることはないし、パラノイア人も自分達の平和を取り戻すことでしょう。」
「そうだな。オーイエロー。これからも五人、力を合わせて地球を守ってゆこう。」
そう誓い合う隊長と樹里を温かく見守り桃、昌平、裕司の三人だった。
完
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