樹里f

妄想小説

超力戦隊 オーレンジャー 樹里の危機






 十六

 樹里が正気に戻った時には、自分が桃に繋がれていたパラノイアの秘密基地の入り口ロビーから移されて処刑台のある部屋へ戻され、再び十字架に磔にされていた。
 「気が付いたか、オーイエロー。お前の仲間にはだいぶ酷い目に遭わされたようだな。」
 「お、お前たち・・・。オーピンクに何を吹きこんだのっ。」
 樹里の舌の痺れは既に取れていて、再び話が出来るようになっていた。
 「オーピンクはあの二人のオーレンジャーに襲われ、お前が総統様にフェラチオというものをさせられている映像を見せられてすっかり逆上してしまったようだな。お前らはもうすでにバラバラなのだ。」
 「私達を仲間割れさせる作戦だったのね。」
 「オーピンクはあのパワーブレスとかいう奴を取り返して、すっかり力が戻って反撃出来るつもりになっているようだが、まんまとデクスター様の罠に引っ掛かっているだけなのさ。」
 「何ですって。」
 「所詮、オーレンジャーも幾らパワーブレスで武装したからって、一人では我々には勝つことは出来ないのさ。今、デクスター様があのオーピンクを充分引き寄せてから捕えている隊長を人質にして降参させる算段になっているのさ。」
 「うっ、そんな汚い手を・・・。ひ、卑怯だわっ。」
 「何とでも言うがいい。もうお前だって、何の手出しも出来ないのだからな。」
 「くっ、悔しい・・・。」
 樹里は両腕を何とか自由にしようともがくが、樹里の両腕を繋いでいる鎖はびくともしないのだった。
 「デクスターは何処へ行ったの?」
 「お前たちの仲間の最後の一人を捕える為に罠の準備をしに他の兵士たちと共に出掛けていったのだ。」
 「それじゃあ、ここにはお前ひとり?」
 「そういうことだ。そんな格好で縛られているお前には見張りは一人居れば充分だからな。」
 「そう、そうなの・・・。」
 (何とかしなければ、桃が捕まってしまうのは時間の問題だわ・・・。)
 「貴方、デッダー隊長って言ってたわよね。」
 「そうだ。デッダーは私だ。」
 「デッダー隊長はパラノイア人なのよね。」
 「何をバカなことを言っておる。当り前だ。」
 「パラノイア人には性欲が無いって言ってたわね。」
 「性欲? ああ、デクスター様が言っておられたあれか。お前たち、地球人にはそれがあるそうだな。」
 「そうよ。人間なら誰でもが持っているものよ。そう言えば、デクスターにも性欲があるのではなくて?」
 「それはよく分からない。だが、お前をいつまでも処刑しないで調教すると言っていたのも、その性欲とかいう奴に関係があるらしいのだがな。」
 「だとすると、デクスターはパラノイア人ではなくて、この地球に元から棲んでいる人間なのでは?」
 「それはよくわからん。そういう事は考えてはいかんと常々デクスター様から言われているのでな。」
 「貴方たち、パラノイア人も本当は性欲がある、いや。嘗てはあったのではないかしら。」
 「何だと? 我々にも性欲はあったと言うのか。」
 「おそらく、そうだわ。貴方たちの性欲は眠らされているだけなのよ。」
 「どうしてそんな事が分かる?」
 「貴方たち、パラノイア人を含めて、地球人である人間も皆、性欲がなければ子孫を増やすことが出来ないからよ。」
 「性欲がなければ子孫が増やせないだと? 我々、パラノイア人は性欲などなくとも子孫を増やしてるではないか。」
 「そこには秘密があるのよ。あなたにも性欲はあった筈。いや、今でも残っていて只眠っているだけなのよ。」
 「何を根拠に・・・?」
 「根拠はないわ。直感よ、これは・・・。ねえ、試してみる。貴方にも性欲の片鱗が残っているかどうか。」
 「試す? どうやって・・・。」
 「貴方は私がデクスターにフェラチオをさせられたのを見たでしょ。あれは、デクスターの性欲がそうさせたの。あれをすると性欲が蘇る筈だわ。」
 「フェラチオをされるとどうなるのだ・・・?」
 「とても気持ちよくなるの。だからデクスターは私のやらせたのよ。貴方も試してみたら?」
 「そんな事言って、油断させるつもりだろっ・・・。」
 デッダー隊長はその手には乗らんぞと言いたげだったが、充分興味を惹かれているのは間違いなさそうだった。
 「両腕をこんな風に磔にされているのだもの。私にはなにも出来ないわ。出来る事といったら、貴方のペニスを口に咥えてあげるぐらいしかないもの。」
 「お前が、デクスター様にしたみたいに、俺様のペニスを咥えるというのかっ・・・。ちょっと待て。考えさせてくれ・・・。」
 樹里は鋼鉄の甲冑ようなパラノイア人の兵服しか観た事がない。男のパラノイア人にペニスがあるのかどうかも知らなかった。ただの当てずっぽうだったのだが、デッダーはすっかりその気になっている様子だった。
 「本当にフェラチオをして貰ったら、俺の性欲が戻ると思うのか?」
 「わからないけど、そんな気がするの。試してみる価値はあるわ。」
 「わかった。もし変な気を起したらすぐさま、首を絞めるからな。」
 そう言うと、デッダーは樹里を括りつけている十字架を吊っている鎖を壁のハンドルを回して徐々に降ろしていく。樹里の脚が床に届き、さらには顔がデッダーの腰の辺りまで降りてくると、樹里の真正面に仁王立ちになった。
 「さあ、咥えてみろっ。」
 そういって、甲冑のような兵服の間からパラノイア人のペニスらしきものを取り出した。その表面は金属のようにつやつや光っている。
 樹里は目を瞑って口を尖らし、その塊を口にする。やはり金属のような冷たい感触がする。しかしその感触は金属に似てはいるが、何やら有機体のそれだった。

樹里g

 「どう? 何か感じる・・・?」
 「うっ・・・。な、何だ。この感じは。」
 「じゃ、これはどう?」
 そう言うと、樹里は口を更にすぼめて、舌を絡ませてみる。
 「うっ、な、何か・・・。忘れていたものが、思いだせそうな・・・。何か、とても懐かしい感触なのだ。もっと、してくれっ。」
 ジュポッ、ジュポッ。
 樹里は必死でパラノイア人のペニスを吸い上げる。
 「何だ、この感触は・・・。ああ、いい。気持ちがいい・・・。」
 「これ以上は口だけでは無理だわ。いい事、片手だけ外して。そしたらもっと気持ちよくさせられると思う。」
 「ああ、いい。そうか。片手だけだぞ。ちょっと待て。」
 デッダーはリモコンで樹里の片側の腕の枷だけを外す。やっと自由になった片腕を今度はデッダーのペニスが生えている根元のほうへ突っ込む。
 「これでどう。もっといい気持になってきたのでは・・・。」
 「ああ、いい。こういう感じなのか。性欲とはこういうものなのか。もっと・・・、もっとしてくれっ。」
 樹里は片手でパラノイア人の睾丸を探り当てまさぐると同時にペニスを口で締め付ける。そしてデッダーがフェラチオの快感から、性の快楽の深みにどんどん元に戻れないほどのめり込ん
 でいくのを感じとっていた。
 「ああ、そこは気持ちいいのだが、そっとやってくれよ。何せ、凄く敏感な部分だからな。」
 (敏感な部分・・・?)
 鼠蹊部をそっと撫でていた樹里は、ふとある事を思いつく。
 (もしかしたら・・・。)
 樹里は自由になった右手を鼠蹊部からゆっくり睾丸のほうへ伸ばしてゆく。そしてその指が睾丸の裏側に到達するや、いきなりぎゅっと渾身の力を篭めて握りしめたのだ。
 「あぎゃあああああ。」
 突然、デッダーが断末魔のような声を挙げた。
 「や、やめろっ。放すんだ、その手を。」
 しかし、樹里は手の力を緩めない。
 「やっぱり、ここがパラノイア人も急所だったのね。しかも人間の男よりも更に敏感みたいね。」
 「は、放してくれっ。そこは駄目だ。その手を緩めてくれっ。」
 睾丸を樹里に握りしめられて、デッダーはもう全く力が入らないどころか身動きさえも自由に出来ない風だった。
 「駄目よ。デッダー。私のもう一方の腕を自由にしてっ。」
 「わ、わかった。だ、だから・・・、その手をちょっと緩めて・・・、緩めてくれっ。」
 「まずは私の手の枷を外すのよ。」
 痛さに、デッダーはもう何も考えられない様子だった。すぐに近くに置いてあった十字架の枷のリモコンを操作して、樹里の片腕を捉えていた枷を解放させる。
 「首輪も外してちょうだい。」
 「わ、分かった。今、外すから・・・。」
 漸く、自由の身になった樹里はデッダーの股間から手は離さず立上る。
 「さ、歩くのよ。オーレンジャー二人に掛けた洗脳機のところへ連れていってちょうだい。」
 デッダーは股間を握りしめられた不自由な格好のまま、後ずさりするような形で樹里を機械のある場所へと案内してゆく。

 「これね。さ、その椅子に座るのよ。」
 樹里はデッダーを機械の椅子に股間を握ったまま座らせると、もう片方の自由な手でデッダーを椅子の手枷で繋いでしまう。デッダーが身動きできなくなったところで漸く股間から手を放す。
 「ふうっ・・・。死ぬかと思ったぞ。」
 「この機械の操作はデクスターしか出来ないと言っていたわね。でもデクスターでも何かを観ながら操作をしていた筈よ。それは何処にあるの?」
 「あの教典の事か? あれなら神殿の祭壇の裏側にある筈だが、誰にも読めない筈だ。俺様も一度だけちらりと覗いてみたんだが、何が書いてあるのかさっぱり分からなんだ。」
 「神殿の祭壇の裏側ね。ちょっと待ってなさい。」
 そういうと、身動きが出来ないのをもう一度確認してから樹里はデッダーを置いて祭壇と呼ばれた場所へ急ぐ。
 神殿はパラノイアの秘密基地の一番奥に見つかった。大きな洞窟のようになったその場所の中央に祭壇らしきものが聳えていた。樹里はそこへ攀じ登ると裏手に回る。
 (これね。デッダーが教典と呼んでいたのは。)
 樹里は祭壇の裏側に設えられた小さな扉を開くと中から古そうな書物を取り出した。
 「こ、これは・・・。古代サンスクリット語じゃないの・・・。」
 樹里は今は亡き父の最後の言葉を思い返していた。
 (樹里よ。私が遺すあの言語を習得しておくのだ。いつかきっと役に立つ時がくる。)
 そう言って樹里の父親は息を引き取ったのだ。オーレンジャーの前身である宇宙航空兵団で研究者をしていた樹里の父がパラノイアの軍団に襲われ瀕死の重傷を負って助け出された際に、駆け付けた樹里に残した言葉だった。それ以来、何の役にたつのかわからない古代サンスクリット語を、樹里は子供の頃、必死で勉強したのだった。

tbc
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