妄想小説
麗華に仕掛けられた罠
六
麗華が両手を大きく広げた格好でフェンスの鉄枠に二つの手錠で繋がれてしまうと、安心したのか朱美が麗華のすぐ前まで近寄って来る。
「さ、これで満足でしょ? 完全に自由を奪われたのだから、何の攻撃も出来ないわよ。攻撃どころか何をされても抵抗も出来ないのよ。それで満足なのなら、早く美桜を解放してあげてっ。」
「アンタ、意外と肝っ玉は据わっているようね。いいわ。約束だからあの小娘は解放してあげるわ。」
朱美は麗華の目の前で携帯を取り出すとグランドの反対側に居る子分等に電話を掛ける。
「こっちはオッケーよ。麗華って奴は何も出来ないように繋いでしまったから人質はもう必要ないわ。逃がしてやっていいけど、すぐに何処かに駆け込まれたら困るから両手は後ろ手で手錠を掛けたままにするのよ。それからスカートとパンツは剥ぎ取ってしまってから放つのよ。そうすりゃ、他人に見つからないようにこそこそ逃げ帰るしかないからね。」

麗華は朱美が携帯で子分たちに指示をしているのを聞いて堪らずに声を挙げる。
「待ってっ。何て卑劣なことをしようとしているの。もう私が代わりに人質になったんだからいいでしょ。下半身丸見えにさせて放つだなんて・・・。」
「ふふふ。そうね。そんな格好で走り回ったら却って目立って人目を惹いてしまうかもね。いいわ。じゃ、スカートだけは着けさせてやるわ。但し飛びっきり丈は短くしてやるけどね。おい、お前等。こっちに居る麗華がどうしてもって頼むんでスカートだけは剥ぎ取るのは勘弁してやることにするから。その代わり、そいつのスカートは鋏でぎりっぎりまで短くしちゃって。そしてパンツは剥ぎ取ってから放つのよ。そしたらアンタたちはもう戻っていいわ。こっちは吟子と悦子だけで充分だから。」
電話している朱美たちの美桜に対する非情な仕打ちを聞きながら、これ以上条件闘争をしても無駄だと悟った麗華はそれを呑むしかないのだと自分に言い聞かせるのだった。グランドの反対側を見守る麗華の目に、スカートを短く切り取られてから後ろ手に拘束されたままの状態で美桜がグランドから逃げ去り姿を消す姿が見て取れた。美桜に自分が身代わりになってグランドの反対側で拘束されたことを美桜が気づいているようには思えなかった。それは当分自分を救いに誰かが来るのは全く望みがないことを示していた。
「さあ、アンタの望み通りあの小娘は放ってやったわよ。ま、せいぜいあの娘が家まで逃げ帰るまでに悪い狼に捕まらないことを祈ることね。だってまるで私を犯してって言わんばかりの格好で逃げ帰るんだものね。」
朱美の非情な言葉に、麗華はその顔を睨みつけながらも美桜が無事に家まで逃げ帰れることを祈るしかないのだった。
「さあて、ここからが本番よ。アンタにはたっぷり折檻させて貰うよ。」
「せ、折檻って・・・。私が何をしたって言うの?」
「ふん。まだ自覚は無いようだね。ちょっとばかし顔が美形でスタイルがいいからって調子に乗っているから懲らしめてやろうっていうのさ。」
「言っている意味が分からないわ。どうして私が懲らしめられなければならないって言うの?」
「少しばかり綺麗な顔してスタイルがいいからってお高く留まって男たちを夢中にさせているのが生意気だっていうのよ。それにそんなに短いスカートで男たちを挑発して。どれ、どんなパンツ穿いてんのか、見せてごらんよ。」
そう言うと、朱美は手にした竹刀の先を何も出来ない麗華のスカートの裾の中に突っ込むと裾を捲り上げてしまう。

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