企み気づき

妄想小説

麗華に仕掛けられた罠



 十二

 「ねえ、お願い。この手錠を外してっ。」
 麗華は次第に募ってくる尿意に堪らなくなって目の前に居る朱美と悦子に言葉を発する。
 「あら、どうしたの? 急に、アタシたちにお願いだなんて。」
 「うっ・・・。ト・・・。トイレに行きたいの。だからお願い。一度だけでいいから一回手錠を外してトイレに行かせて頂戴っ。」
 「ふふふ。その言い方はかなり切羽詰まっているようね。どうなの?」
 「ああ、もう我慢の限界なの。お願いだからトイレに行かせてっ。」
 麗華の必死の形相に、勝ち誇ったような薄ら笑いを浮かべた朱美は麗華の真正面に歩み寄る。
 ピシーン。
 突然の朱美のビンタが両手の自由を奪われて何の抵抗も出来ない麗華の頬を襲う。
 「ううっ・・・。」
 突然の仕打ちに括約筋が緩みそうになるのを必死で堪える麗華だった。
 「何、その言い方は? 人に何かをお願いする言い方じゃないわよね。」
 「ううっ・・・。す、済みませんでした。あ、あの・・・。どうか、手錠を外して、私をトイレに行かせて頂けないでしょうか・・・。」
 あまりの屈辱的な状況だったが、麗華は生理的な欲求には逆らうことは出来ず、不条理な朱美の仕打ちに下出に出るしかないのだった。
 「ふん。トイレになんか行って、どうしたいのさ?」
 「えっ? どうしたいって・・・。そ、それは・・・。」
 「はっきり言ってごらんよ。」
 「そんな・・・。わ、わかりました。お・・・、オシッコがしたいのです。」
 「え? 何だって? よく聞こえなかったよ。何がしたいって?」
 「ううっ。お、オシッコです。オシッコがしたいのです。」
 麗華には朱美が自分を辱める為にわざと言っていることに気づいていた。しかしこの窮地から逃れるためには言う通りにするしかないことも重々分かっていた。
 「ねえ、悦子。この子、オシッコだって。よくそんな恥ずかしいこと、他人に言えるわよね。」
 「きゃははは。オシッコね。今度からこいつの事、オシッコ姉さんって呼んでやろうかしら。」
 「あははは。それがいいわ。オシッコ姉さん。ね、どう?」
 「あの・・・。お願いですから、この手錠を外しておトイレに行かせてください。。」
 「ふん。駄目だね。アンタにはもうちょっとここで我慢してて貰うよ。おい、悦子。吟子に合図しな。もういいよってね。」
 「あいよ。もういいんだね。それじゃ。」
 朱美に言われた悦子は後ろの方を振り返ると上方にある特別観覧席の方へ向かって手を振るのだった。



reika

  次へ   先頭へ




ページのトップへ戻る