自捲り

妄想小説

監禁された女巡査



 第九章 更なる調教


 真穂が再び都心へ向う朝の通勤電車のホームに立たされたのは、次の朝のことだった。今度は手錠も首輪も嵌められていない。両手をだらりと垂らした格好で、ぴたりと超ミニのスカートの両脇の裾付近に置いている。一見、自由の身で放たれたように見えている。しかし、真穂には自由に身動きすることは出来ないのだった。

 その妙な仕組みのツーピースのミニドレスを初めて見せられたのは、前の晩のことだった。拘束された真穂のシモの世話を仰せつかっている次郎の情婦、朱美がそれを着て、若の後ろから現れたのだった。チャイナドレスのようなサテン地の妙なドレスは上着と極端に短いミニスカートのアンサンブルになっている。妙に見えるのは、造りがとてもシンプルだったせいだ。その訳を直ぐに真穂は知ることになる。
 次郎が若に命じられてミニの両脇から伸びている細い糸のようなものを、朱美の両手首に巻きいて括りつける。何をするのかと不審に思いながら真穂が見ていると、若は次郎を呼び寄せ、何やら耳打ちする。それに頷いた次郎は、ゆっくり朱美のほうへ近づいていった。朱美も何が起こるのか知らされていなかったらしく、ちょっと不安そうな面持ちで次郎の所作を眺めていた。
 その次郎が突然、素早い動作で朱美の胸元の乳房あたりをいきなり鷲掴みにした。
 「きゃあっ。」
 朱美は突然のことに驚いて、両手を胸元に当てて防ごうとする。その途端、プチン、プチンと微かな音が朱美の身体のあちこちで鳴ったようだった。その直後、朱美のドレスに異変が起こった。
 上着のドレスが肩口の所で前後二枚の布切れになって、はらりと落ちてきたのだ。それだけではなかった。同時にミニスカートのほうも、両サイドで布が真っ二つに割れて、腰からもはらりと落ちそうになったのだ。
 朱美は慌てて、自分の臍の前と胸元を片方ずつの手で抑えたが、最早、ドレスは布切れでしかなく、背中側のははらりと床に舞い落ちていた。朱美はあっという間に下着だけの姿を晒すことになってしまったのだ。
 「どうだ。面白い仕掛けだろ。このドレスはイリュージョンマジックの早着替えなんかで使っている仕掛みで出来ていて、スカートの裾から出ているテグスを引っ張ると、肩口のところと、腰の両脇のところで留めている細い糸が切れて、二枚の布を縫い合わせているテグスがするりと抜けるようになっているんだ。両手をスカートの裾から動かすと、ドレスがばらんばらんの四枚の布切れに一瞬で変わってしまうという訳さ。」

 前の晩、朱美が実践して見せたまさにそのマジックミニドレスを真穂は身に着けさせられていたのだ。両脇の裾から伸びているテグス糸は、真穂の両手首にそれぞれしっかり括りつけられている。しかも、朱美の時と違って、真穂には下着は一切着けさせて貰っていないのだ。周りからみれば、拘束されているようには全く見えない。しかし、不用意に手を動かそうものなら、一瞬にして全裸を晒してしまうことになりかねないのだ。真穂は、テグスにテンションを与えないように、注意しながら、両手をぴったりスカートの両脇に揃えてじっとしていなければならない。
 そのスカートの仕組みはそれだけではないのだ。誰かがそのスカートを捲ろうとしたら、糸が切れないようにするには、捲られたのに従って、真穂自身も両手首の位置を合わせて、ずり上げていかなければならないのだ。そのことは、捲られた分だけ、自分でスカートの裾を持ち上げていくのに等しかった。前日の経験から、そんな格好で満員電車に乗れば、どれだけの痴漢の蹂躙に遭うのか、想像するだけでもおぞましかった。それでも、真穂は男達の言う通りに従わねばならないのだった。
 前日の夜、真穂の警察手帳で誘き出され拉致されてきた女子大生は、約束どおり釈放され、秘密のアジトから解放された。それで、ほっと胸を撫で下ろした真穂だったのだが、それは甘かった。朱美と次郎たちは、同じ様な手口で、別の若い女性を拉致してきていたのだった。その女性が危害を加えれない為には、真穂は男達の言うことを全て聞かなければならない。その命令が、あの特殊なドレスを身に着けて、超満員の通勤電車に乗ることだったのだ。
 その電車は、前日と同じ場所の同じ時間帯がわざと選ばれた。昨日、痴漢行為に無抵抗だったのを知って味をしめた同じ痴漢達が更に過激な責めをしてくることを想定してのことなのは間違いなかった。
 今度は手錠での拘束はない。自分の意志だけで、無抵抗でいなければならないのだ。その屈辱を甘んじて受けさせ、口惜しさに身を焦がさせることが即ち、若という男の企みであり、仕返しなのだった。

 真穂の窮地は乗ってすぐにやってきた。真穂の過激な格好に、砂糖に群がる蟻のように、痴漢たちは列の後ろに並び、電車に乗り込むや真穂を取り囲んで手を伸ばしてきた。前日のような遠慮は最初から一切なかったのだ。スカートが直ぐに後ろから上に向って引っ張られると、真穂は慌ててそれに合わせて両脇の手首の位置を上げていかねばならない。自分でスカートを引上げているのと同じだった。すぐに裸の尻が痴漢等の前に無防備になる。無防備なのは尻だけでなく、下腹部の叢に覆われた恥部も同様なのだ。そこを痴漢の手が逃す筈もなかった。
 痴漢たちはノーパンで居ることが即ち、痴漢行為への容認であり、承諾、否、渇望と取ったようだった。真穂は目付きだけは、周りの男達を吃と睨みつけてはいたが、身体のほうは無抵抗とならざるを得ないので、何の助けにもならなかった。
 真穂の真正面に居たのは、前日、他の男に後ろから指を伸ばされて陰唇を占有されてしまって仕方なく、恥骨の上を指の甲でぐりぐり責め、それだけでは飽き足らなくなって、真穂の下腹部に性欲の証の粘液を浴びせ掛けた男だった。絶好の機会を逃すものかと、最初から真穂に真正面に対峙し、何の躊躇いもなく、指を剥き出しの陰唇に伸ばしてきた。中指と薬指の二本の指を折って鉤のように曲げて下から陰唇の襞を割って侵入してきた。その動きは性急だった。しかし、男の指の最初の侵入の時に、既にその部分は潤みを帯びてしまっていることに気づいて驚愕したのは、真穂のほうだった。真穂は自分の身体を否定したかった。が、自分の理性と意志とでは身体のコントロールが効かなくなってしまっていることを思い知らされたのだった。
 後ろから忍び寄ってきていた指が前から責めている男の手とぶつかったようだった。後ろからの男は、その部分が先に占有されているのを悟ると、もうひとつの孔を目指し始めた。
 (ううっ・・・。)
 この指の動きに、真穂は身体じゅうを戦慄が走るのを憶えた。
 (まさか、そんなことまで・・・。)
 真穂は唇を噛み締め、両腿を引き絞るようにして括約筋を緊張させる。しかし、後ろの男の指も執拗だった。しかも前からもクリトリスの裏側をなぞるように責められ、つい、下半身の力が緩んでしまう。その度に、じわり、じわりと男の鉤形に曲げられた指先が真穂の菊座に近づいてきていた。
 「あうっ・・・。」
 所詮、どうあがいても、避けようはなかった。男の指がとうとう菊座の入口を突破して突き立てられると、初めて真穂は声を上げてしまった。その声に、周り中の視線が真穂に充てられた。真穂の窮地を悟ってのものに違いなかった。が、誰ひとりとして、真穂の窮地を救おうとするものはなかったのだ。陰唇、肛門までが塞がれてしまうと、それ以外の手は仕方ないとばかりに、裸で丸出しの尻タブ、さらには上着のドレスの裾下から真穂の乳房目掛けて這い伸びてきた。
 真穂は陰部を前後から責められ、乳房を両側から揉まれ、尻タブをしっかり掴まれて四方八方から蹂躙されながら、両手はスカートを自分で捲り上げるような格好でぴたっと身体の両脇においてただ堪えているしかなかった。それはまさしく拷問に他ならなかった。

痴漢餌食2


 電車が都心の駅に近づくにつれ、男たちの手の動きが、速く、激しくなっていった。それはさながら真穂の身体への蹂躙の名残を惜しむかのようだった。しかもそれだけに終わらなかった。一人の男の行為が、周り中の男達に同じ行為を誘発したのだ。片手で真穂の身体をまさぐりながら、もう一方の手を自分の股間に伸ばし、ズボンのチャックを引き降ろしたのだ。それはある行為の準備に他ならなかった。男達は何としても、その行為を電車が駅に到着してしまう前に成し遂げようと、性急に股間のモノをしごき始めた。
 真穂は前後から、裸の生脚の肌に、生温かいぬめりが飛んできて付着するのを感じた。もはや凌辱という言葉では生ぬるいとさえ思われるような酷い仕打ちだった。放出を終えると、次々に男たちの手が真穂の身体から離れていった。それは電車がホームに滑り込んで減速していくのとほぼ同時のことだった。

 プッシューッという音と共に、電車の扉が開かれると、すし詰め状態の乗客たちが一斉に外に向って掃き出されていく。真穂は半分放心状態で、その流れに身を任せようとしていた。が、突然、誰かの手が真穂の手首をがっしり捉えて外へ出させまいとするのだった。しかし、電車に留まろうとする行為は、周りの乗客の流れに抗うものだった。真穂は周りの殆どの乗客の流れに押し出されようとしながらも、片手首を捉えられて、それに抵抗するようになってしまっていた。その時、肩口でプチンと布の合わせ目が小さな音を立てたのを真穂は聞き逃さなかった。慌てて肩口を抑えようとして自由なほうの片手を伸ばしかけて、もう片方の肩口の布切れが悲鳴のような微かな音を立てるのを聞いた。それと同時に腰の周りの緊張がふっとなくなったのも感じ取っていた。どんどん出て行って、まばらになっていく車室内に真穂は、頼りなげな布切れを胸元と股間に一枚ずつ当てて蹲る他はなかったのだった。

 殆ど全裸状態で蹲る真穂に、背後から膝丈ほどのスタジアムコートを投げて寄越したのは、監視役として真穂を見張っていた次郎だった。それに気づいて慌てて羽織って裸を隠す真穂だった。幾らなんでもそのままの格好で居れば、鉄道公安官などがやってきてしまう。立ち上がった真穂の直ぐ下の床には、ばらばらにされた布切れのうちの最後の二枚だけが残っていた。後の布切れは乗客にもまれて、ホームの外に舞い出てしまったようだった。真穂にはそれを拾い集める元気もなかった。顎をしゃくって合図する次郎に、スタジアムコートに全裸の身を包んで、うなだれて付き従う他はない真穂なのだった。

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