静香への折檻
一
「ねえ、もう充分愉しんだでしょ。そろそろこの縄を解いてよ。」
「いや、愉しみはまだこれからさ。」
「え、ちょっと縛ってみるだけって言ったじゃない。」
「お前だって、その気になってきたんじゃないのかい?」
「いやだあ。そんな訳ないじゃない。早く解いてっ。」
「駄目だね。お前に少しいい事してやろうって思っているのさ。」
「いい事? どういうこと・・・。まさか。」
「気持ちよくさせてやるよ。」
「や、やめてっ。何するの。そんな事、するんならもう言う事聞いてあげないわよ。」
「せっかく縛られて何も抵抗出来ないんだからさ。ほら、こんな事されたらどうだい?」
「あ、駄目。そんなところ、触らないでっ。いやっ、濡れてきちゃう・・・。」
「満更でもなさそうじゃないか。さて、それじゃあそろそろ選手交代とするか。」
「え、選手交代? どういう事?」
「あたいたちが交替してやろうって事だよ。」
突然背後から聞こえてきた声に静香はびくりとする。
「だ、誰っ?」
「朱美たちだよ。お前も知らないことはないだろ。」
「あ、朱美さん? どうしてこんな所に・・・。」
「実は朱美に頼まれたんだよ。お前を縛って引き渡してくれってさ。」
「え、じゃあ二人っきりで愉しもうって言ってたのは嘘だったって言う事?」
「俺はお前のその縛られた格好を観ただけで充分愉しんだからな。そっから先の事は朱美たちに訊いてみなよ。縛られたお前に何がしたいんだか。」
「ちょっと止めてよ。私をこんなままにして置いて行こうっていうの。」
「大丈夫よ、静香ちゃん。私達があなたをたっぷり可愛がってあげるから。」
「じょ、冗談じゃないわ。嫌よ、そんな事・・・。ね、早く解いてよ。この縄っ。」
「お前を縛ったまま引き渡すってのが約束なんでね。お前が縛られてもいいって言ったんじゃないか。」
「だ、だって・・・。二人っきりって言ったじゃない。こんな人達に引き渡すだなんて。」
「こんな人達だって? 随分な言い草じゃないかい。お前は何時だって、私達の事、そんな風に下に見ているからさ。こういうお仕置きを与えなくちゃいけないんだよ。今日はとことん、お前の性根を叩き直してやるからさ。覚悟しな。」
「そ、そんな・・・。拓哉っ。ね、助けてちょうだい。」
「お前は何時だってそうやって男に甘えてみせれば、男が言うことを聞いてくれると思っているようだけどね。世の中、そんなに甘くないってことを思い知らせてやるのよ。ふふふ。」
そう言うと、両手を縛って吊り上げられて何も抵抗出来ない静香の顎を朱美はしゃくりあげて、静香に惨めさを味わわせるのだった。
「俺はこの先は見ないことにするんでね。俺が居なくなったらお前たちの好きにするがいいさ。じゃあな。」
「ま、待ってよ。拓哉っ。私を置いていかないで。」
しかし、静香の必死で叫ぶ声には振向きもしないで拓哉は立ち去ってしまうのだった。
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