騙された新人女優とマネージャー
第三部
四十一
「ねえ、由里ちゃん。貴女、私に隠している事・・・あるんじゃない?」
「えっ・・・。な、何ですか。急に?」
「由里ちゃん。貴女、この間貴女の口座のクレジットカード渡した時30万円下していたわね。」
「あ、あれは、だから・・・。この前も言った通り、母の親戚の人が急にお墓を買う必要があって貸して欲しいっていうもんだから。」
「貴女、その前にも10万円、私に下ろさせたわよね。」
「ええ、だからそれもその親戚の人へのお香典に・・・。」
「ちょっと気になったから貴女の実家の方へ電話させて貰ったの。最近お亡くなりになった方が居られるとかって。そしたら、そんな人はいませんって。」
「うっ、実家に電話したんですか・・・?」
「駄目よ。マネージャにすぐばれるような嘘を吐くなんて。嘘を吐いてまでお金が必要なんて、何か困ったことがあるんでしょ?」
「そ、それは・・・。」
咄嗟に詰め寄られて由里はうまい嘘が思い付けなかったのだった。結局問い詰められてフリーの記者からまずい写真を週刊誌に売りつけられたくなかったら50万円用意しろと言われた事を白状せざるを得なかったのだった。
「どんな写真を撮られたっていうの?」
「そ、それは・・・。」
ひとつ嘘がばれるともう取り繕いようがなかった。由里は正直に演技の指導だと言われて進藤剛に監督の知り合いの別荘に連れていかれてそこで剛と関係を持ったことを白状する。
「その時の写真を撮られたんだと思うんです。」
「ん? 撮られたんだと思うですって? どんな写真だと思うの?」
「わ、わたしも最初はそんな事するんだって思いもしなかったんです。」
由里は剛に目隠しをするように言われて、その後両手を縛られてフェラチオをさせられた事、その後すぐに今度は下着を脱がされて処女を奪われることになったことを打ち明けたのだった。
「ということは、貴女が剛のモノを咥えたり、剛が貴女の処女を奪う瞬間を撮られたんだと思うのね?」
「あ、はいっ。」
「で、貴女はそういう写真を見せられたの?」
「あ、いえ。私がみたのは剛さんと二人だけで車に乗っているところだけです。」
「うーん。それっ、写真があるんだって騙されているのかもしれないわね。」
「え、何ですって? だって、剛さんと一緒に別荘に居たことは知ってたんですよ。」
「それくらいのことだったら、進藤剛から聞き出したのかもしれないわ。二人にうまく何でも知っている振りをして、少しずつ情報を引き出していって。それで何か情報を引き出したら、今度はもう一人の方に相手はこんなことまで喋っていたんだよって、カマを掛けるの。フリーの記者とかがよく使う手口よ。相手に何でも知っているんだと思い込ませて、逆に知らないことを言わせて引き出しちゃうの。」
「え? まさか、そんな事・・・。」
「もしそんな写真を本当に持っているんだとしたら、40万円やそこらの金額で手を打ったりはしないわ。貴女が内密に独りだけで処理しようとして用意出来そうな金額をわざと提示したのよ。もしかしたら本当にやばい事をしてたかどうか試す為に、そんな金額を吹っ掛けてみて貴女がその話に乗ってくるかどうか見極める為だったかもしれないわ。」
「え? それじゃあ、全部騙されてたっていうの? でも私、お金を渡す代わりに何処の週刊誌にも写真を渡さないっていう証文まで貰っているわ。」
「ちょっとそれ、見せて頂戴。」
由里から証文を渡された茉莉はちらっとそれを読んでみる。
「こ、これっ・・・。」
(この証文、使い方によっては由里が剛との情事が本当にあったって白状してるようなものじゃないの。)
「いい事? 貴女はそんな記者なんかに関わっちゃ駄目よ。交渉は全部私が代わってやるから、もうその記者には逢わないって約束して。」
「え? ええ、でも・・・。」
「私が何とかうまく交渉して、そんな写真があるなら取り返すしお金も取り戻すつもりよ。いいから私に任せなさい。いいわね?」
「あ、はいっ。新垣さんに全部おまかせすることにします。」
一旦はそう言って引き下がることにした由里なのだった。
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