妄想小説
恥辱秘書
第十二章 忍び寄る脅迫者
六
次の日はスカートの丈を詰めてくるようにメールで指示される。(このくらいの命令ならば、従ってもそんなひどいことにはならない。)そう思うようになって従ってしまう。そしてその次は、朝からノーパンで居ろという命令だ。最初は抵抗があるが、数日同じ命令を受け続けていると、次第に、(これ位のことで済むのなら、暫くは我慢しよう。)と思ってしまう。そんなことだけで済む筈はないと冷静に考えれば判る筈なのに、・・・。美紀は自分の時のこと、あの時、引き返せたのではと、回想する。
(いや、何をしても芳賀のたくらみから逃れることなど出来っこない。)最後はそう自分を納得させる美紀だった。
そして、いよいよ裕美を手なずける最終仕上げは、裕美の下着を奪った日から一週間が経ち、ノーパンのままで会社で過ごすことに慣れ始めた頃に敢行されたのだった。その呼び出しメールも、美紀が書かされたのだ。
「今日は午前中の10時にいつもの体育館の男子トイレに来い。指示は向こうに書いてある。」
裕美は命令に変化がある度にどきりとする。が、懼れていたほどの指示ではないのに毎回安堵することの繰り返しだ。勿論、恥ずかしいことを強要されている。が、奪われた下着を晒されたり、ノーパンで居るところを覗かれたりした訳ではない。恥ずかしい格好をさせてはいるが、外から見れば、一見何の変わりも判らない。
(恥ずかしいことをさせた本人が知っているだけのことなのだ。そんな優越感だけで満足してくれるのなら、何でも言うことを聞く振りをしていよう。向こうだって、あんな破廉恥な写真を公開などしたりしたら、犯罪で警察から追いかけられるようになるのだ。だから、自分に人知れず恥ずかしい思いをさせて、それを自分だけが知ってるという思いで満足しているのだ。)
そんな自分勝手な都合のいい解釈を、裕美はついついしてしまっていた。
誰にも見つからないように、こっそり体育館の男子トイレへ忍び込むのにも場数を踏んで、だんだん慣れてきていた。昼間の体育館は、本当に誰も来ない場所であることもだんだん判ってきていた。多少の音を立てても誰も聞きとがめない。それでも、忍び込む時と、抜け出す時だけは、偶然そばを通りかかる者もいるので、人目にだけはつかないよう細心の注意を払った。
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