接待k

妄想小説

恥辱秘書






第十二章 忍び寄る脅迫者


 十四

 途方に呉れた裕美だったが、もうあまり猶予はなかった。その裕美の目に入ったのが、男子小用のアサガオだ。それでどうやって出せるのかは考えている間はなかった。躊躇せずにスカートのホックを外して足から脱ぎ取る。パンティも一気に脱いだ。ストッキングを穿いておかなくて良かったと思った。スカートとパンティを洗面台の脇に置くと、意を決して貞操具を嵌められた股間をアサガオに跨るようにして押付ける。内股に陶器に触れて、ひんやりした感触が伝わるのが嫌だったが、なるべく床には洩らしたくなかった。下腹部の力をちょっと緩めるだけで、生温かいものが股の間に広がるのが感じられる。ポトポトと音がして、内股を伝ったゆばりが男子便器の中に流れ落ちてゆく。いくらかは脚を伝って床にも流れ出てしまった。が、全部床にぶちまけた昨日よりはずっとましだった。

 男性小便器を跨いで垂れ流す姿は、想像するのでも惨めだった。そんな姿は誰にも見られたくなかった。まさか、後ろからこっそりついて着ていた美紀がデジカメを片手に構えているなどとは思いもしていなかったのだ。

 思いっきり放尿すると、滴りをなるべく多く便器に落としてから、洗面台においたバッグから雑巾を取って、床にこぼしてしまったものを素早くふき取る。そうしておいてから、今度はタオルを湿して内股と足を濡らしたところを丁寧に拭う。最後に薄いハンカチを取り出して、ベルトに通す。ベルトはきつく締められていて、お腹の力を抜いてやっとのことで、下を潜らす。股間の鎖の下を通すほうが多少楽だった。ベルトと鎖の下を通したハンケチの端を股の前後に通してしごくように貞操具の裏側を拭く。膝を折って股を開いたその姿も惨めな格好だった。しかし小便臭い姿で事務所に戻るほうが、もっと嫌だった。貞操具の真ん中を筒が貫通して深々と股間の奥に挿入されているので、貞操帯の裏側を拭うのも簡単ではなかった。

 漸く何とか濡れているところを拭い終えた裕美は、濡れた雑巾、ハンカチを何度も水洗いしてからやっとパンティとスカートを身に纏うことが出来た。最後にスカートの裾を持ち上げて、パンティの真ん中の膨らみの辺りにコロンのスプレーをすこしだけ当てる。

 何食わぬ顔で体育館から出てきた裕美だったが、もう二度とこんな思いで用を足すのは止めたかった。それは午後の約束の時間の交渉に全て掛かっていた。

 男からのメールは、読むとすぐに削除していた。もし万一誰かに見られたらという不安からだった。パソコンは秘書にも一台づつあてがわれ、メールアドレスも一人一人別で設定はされている。しかし、秘書という役柄上、重役の業務に支障をきたさないことが最優先になっている。その為、不在の場合は、他の秘書が急用を言い付かって、居ない秘書のパソコンを開くことは無いことではなかったのだ。

 消してしまったメールの文だったので、裕美は多少不安だった。3時で、資料室というのは間違いないと思った。鍵を持ってくるとも、渡すとも書いてなかったような気がして不安になる。「外す鍵」という言葉が頭に残っていたが、待っていれば男が来るのかが不安だった。
 その時、初めて、裕美はまだその男には一度も逢ったことがないのに気づいた。いつもメールと貼り紙などの手紙だったことを思い出したのだ。しかも、よく考えてみれば、社外の人間が資料室へ入れるのだろうかと、次々と疑問が沸いてきた。

 が、ふと気づくと、もう約束の3時が間近だった。

 不安な面持ちのまま、裕美は独りで資料室へ向かった。見咎められても、資料室ならば何とでも言い訳た立つと思った。(重役から探すよう頼まれた資料や本を捜しにきた)と言えばいいからである。

 資料室は、工場の裏手にある古い建屋の2階の奥にあった。資料室とはいっても、あまり見る人のいない資料の保管庫という位置づけで、頻繁にみるような資料はそれぞれの部署の事務所の中に置いてある。資料室の資料も、古くなると資料保管庫と呼ばれる場所へ移されるというのは聞いたことがあったが、その場所までは裕美も知らなかった。

 資料室のある建物も、いまではあまり利用されていないので、人通りは殆どない。施錠されている場合は、資料管理課へ鍵を取りにゆくのだが、歩いてゆく途中、遠くだったが、窓に明かりが点っていて誰かが居ることが判った。それがあの男なのかどうか、・・・。
 (確か、あれを開ける鍵が欲しかったら来いと書いてあった筈だ。とにかく行ってみるしかない。)
 そう考えた裕美だった。

 何があるか判らないので大きな音を立てないように近づいていった裕美だった。奥の調べ物をする机で明かりをつけて、誰かがパソコンを叩いている音が聞こえていた。幾段も連なった書棚の向こう側に小部屋があって、調べ物をする机はその中にある。

 ちょっと躊躇ったが、意を決して奥に向かう。書棚の陰から机が見えたとき、それが午前中も出逢った深堀美紀だったことに驚き、狼狽さえした裕美だった。
 出直そうと思った時には、美紀が顔を上げていた。

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