妄想小説
被虐の女スパイ
六
「という事なので、取引は明日。場所は3号桟橋です。踏みこむのは取引現場とこちらのアジトの両方。ただし、奴等が絡んでいるという証拠を掴むまでもう少しだけ待ってください。」
「わかったわ。今度は何時潜入するの?」
「早朝です。取引の下準備と場所の確認、調達している物の準備とかで明日の午前中は連中はてんてこ舞いの筈です。その隙を狙って彼等のパソコンなどから取引の証拠となるものを吸い上げてみせますわ。」
「こっちへの連絡は?」
「それについては良い事を考えました。これを見てください。」
99号は犬の首輪のようなものを取り出して自分の首に着けてみせる。
「これは性奴隷のチョーカーと言って、奴等が私を含め秘密倶楽部の女性従業員全員に装着させているものなんです。お客にこいつは何でも言う事を聞くやつだと教える為だそうです。奴等が着けさせているものなので怪しまれないでしょう。この首輪の内側に発信器を埋め込むのです。」
「なるほど。いいアイデアね。早速通信機器係の者に超小型発信機を埋め込ませるのよ。」
「わかりました、チーフ。」
「頼んだわよ、99号。」
調査班の班長である冴島は、99号が立ち去って行くのを確かめてからデスクの上の受話器を取る。
「明日の早朝よ。準備はいいわね。」
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