妄想小説
被虐の女スパイ
四
「ふうん、そうなの。あそこを広げさせられたの。え、お尻の穴まで。奴等も相当警戒してるわね。それじゃ通信機を身に付けるのは暫くは駄目ね。」
「突入の合図はどうやったらいいでしょう?」
「まあ何かいい方法がある筈よ。少し考えましょう。それまではとにかくあいつらを信用させるように努めることね。いい、少しでも怪しまれたら駄目だからね。この作戦も、貴女自身も・・・。」
「ええ、判っています。」
チーフへ最初の報告をした99号だったが、一抹の不安は拭えないのだった。
「という訳で、うまく信用させることは出来ました。あの秘密倶楽部のある場所への出入りが自由に出来るパスも取得しましたし・・・。」
「そう、まずは潜入成功ってことね。」
「ええ、それでやはり近々大きな取引があるようです。私はその大手取引先のバイヤーへの接待役として雇われているのです。」
「大手取引先のバイヤー?」
「ええ。おそらく麻薬密売のブローカーです。ただ、まだそうであるという証拠までは掴んでいません。現段階では取引の際に踏みこんでも奴等は現行犯で捕えられる可能性はありますが、取引先のブローカーは只の秘密倶楽部の客だと言い逃れられてしまいかねません。確たる取引の証拠を掴まねば。」
「何か公算はあるの?」
「接待係では取引の日取りぐらいまでなら掴めそうですが、証拠となると難しいかと。」
「接待係ではなく、潜入出来る?」
「今はそれを考えています。アジトへの出入りまでは出来ますので。」
99号は取引の日取りを掴んだ時の状況を説明する。
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