妄想小説
被虐の女スパイ
十四
三度目の失神を迎えたところで漸く99号は磔台から降ろされる。両手は手錠で繋がれた上で天井から降りてきている鎖に繋がれてしまうのだった。
再び99号が我に返った時には既にどれだけ気を喪っていたのかもわからないほどだった。まだ身体の芯がじんじんと痺れていた。
(そうだ。仲間に連絡しなくては・・・。)
それまで両手を広げさせられていた為に首輪に仕込んだ通信機にはどうやっても手が届かなかったのだ。
(今ならなんとかなるかもしれない。)
絶頂まで何度もイカされた身では中腰になるのも膝ががくがく震えるほどだった。しかしやっとのことで腰を上げることで手枷に繋がれた両手を首の位置まで持ってくることが出来る。不自由な手のまま、指を伸ばして首輪の内側を探る。
(これで自分が捕まって潜入作戦が失敗してしまったことが伝えられる。きっと仲間が助けに来て呉れる筈だわ。)
そう思った安心感が、再び99号を眠り込ませてしまった。
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