妄想小説
牝豚狩り
第七章 忍び寄る魔の手
その10
サングラスの男はずっと黙ったままだったキングと呼ばれている大男に顎で合図した。大男は黙って、真緒の足首を繋いでいる樹の根元のほうへ歩いていくと、縛ってある縄を解き、その端を少し手繰りよせると、今度は広場の端のほうに生えている高い樹のほうへ向かった。その樹は枯れかけているのか、殆ど葉は茂っていないが、最初の枝でも3mほどの高さがあった。その枝めがけて、大男が縄の端を投げ上げた。縄が枝に掛かって反対の端が降りてくると、大男はその端をぐいぐい手繰りはじめた。
男の力は強く、真緒はいとも簡単に手繰り寄せられて、その樹の下まで引っ張られていく。樹の下で何とか堪えようとする真緒だったが、男がさらに縄を引くので、とうとう、片足だけ宙に吊られたような格好にさせられてしまう。身体を支える為に最早竹刀を持っていることも出来ず、真緒は両手を地面について、何とか自分の体重を支えようとする。そこへ何時の間にか別の縄を持ったのっぽのクィーンが近づいてきて、なんとか踏ん張っている真緒の両手首に縄をかけた。縛り上げられるのを逃れることは出来なかった。身体の重みを支えるのでやっとだった。手を放せば、全体重が吊られた片足に掛かってしまうのだ。
のっぽは小手縛りに真緒の両手首を併せて縛り上げると、その縄の反対の端も樹の上の枝に通して、真緒の身体を引っ張り挙げ始めた。
真緒は両手首と片足首でそれぞれ縄を引かれ、括られていない片足だけをかろうじて地面に付けてYの字バランスを取るような格好に吊られてしまった。普段からストレッチでも鍛えている真緒の身体はY字バランスもこなせるしなやかさを持っていたが、縄で両手、片足を吊られるのはつらかった。
真緒は股を大きく広げたままの格好を男達の前に晒させられている。吊り下げられたほうの脚の袴の裾はずりさがって、腿の付け根の近くまでが露わになろうとしていた。下着はつけさせて貰っていないので、覗き込まれると、恥部まで見られてしまいそうだった。
サングラスの男は皆を促して、吊られている真緒の近くへ皆を誘導する。男たちが真緒を再び取り囲む。サングラスの男だけが真緒のすぐ傍へ近寄った。手には何時の間にかキラリと光るナイフが握られていた。
男がもう片方の手で真緒の顎を捉えた。
「随分お転婆な娘だが、顔は可愛いでしょう。」
男は顎にあてた手で真緒を上向かせると、喉元にもう片方の手のナイフの刃を当てた。真緒の喉がごくんと鳴る。
真緒の顔が恐怖に怯えたように変わるのを確認してから、男はナイフを下げ、顎の手を離した。
「さて、それじゃあ、狩りの準備を始めましょう。」
そう言うと、男は今度は吊られている真緒の腰のほうに手を回した。袴を腰にしっかり括り付けている帯を解き始めたのだ。
(は、裸にされる・・・。)
真緒は男達の前で辱めを受けるのを予感した。
男は真緒の身体に二重に巻きつけられていた袴の帯びをすっかり解くと、袴に縫い付けられていた帯を根元からナイフでぶっつりと切り離した。袴がずるっと垂れそうになるが、もう片方の足を宙に吊られているので、かろうじて腰のところに留まっている。
袴が今にもずり落ちそうになるのを確認すると男は真緒を小手縛りに括っている両手首の縄を緩め始めた。きつく、食い込んでいた縄の端がすこしだけ緩んだところで、男は真緒の傍から離れた。
「ゲームのルールを説明します。今からかっきり5分後に、狩りを開始します。皆様方はそれぞれ竹刀を手に、この女剣士を追い駆けてください。縄で捕縛してこの場所のこの樹まで曳き連れてきて、繋ぐことが出来たらゲームセットです。まあ、時間制限はなしとしてもいいが、この小娘に逃げる元気を与える為に、夕方五時までとしましょう。その時までに捕獲できなかったら、小娘の勝ちでそのまま自由にしてやります。お客さま方のどなたでも捕獲に成功すれば、一晩たっぷりこの小娘を自由に出来ます。よろしいですね。それでは5分の時間を計り始めます。」
男はそういってポケットから取り出したストップウォッチのボタンを押す。
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