決意

騙された新人女優とマネージャー



 第四部



 六十六

 電話を切った茉莉は由里からの報せに運命を感じる。運転しながら手にしていた鍵束を握りしめる。茉莉が捨て身になって須藤の事務所で二度に亘って犯された後、裸で縛られていながら後ろ手で探り当てた須藤の鍵束を、持参した粘土で型を取って持ち帰り合鍵屋で作らせたものだった。

 合鍵を使って須藤の事務所に忍び込むと、目指していたものを捜索し始める。それは鍵の掛かった事務机の抽斗の中で見つかったのだが、鍵束には抽斗の鍵も含まれていたので難なく手にいれることが出来たのだった。連絡を貰った時点で既に須藤の事務所に向かっていたのと、あらかじめ合鍵を手に入れていたことで、警察が捜索に来る前に首尾よく須藤が入手していた由里を脅すのに使っていた映像や音源データの入ったICレコーダーを手に入れることが出来たのだった。

 須藤の事務所から戻ってすぐに報道番組を観る為にテレビ点けた茉莉は、女子アナの高島綾子は命を取り留めたものの、運転していた須藤恭輔の死亡が確認されたことを知る。須藤の死に依って由里のスキャンダルはうやむやのまま終わる可能性も考えられたが、須藤からスクープ週刊誌の会社に渡ったものが何処迄のものか分からない以上、当面茉莉はその後の経過を固唾を呑みながら見守るしかないと判断したのだった。

yuri

  次へ   先頭へ



ページのトップへ戻る