騙された新人女優とマネージャー
第四部
六十
「そうだったのね。よく話してくれたわ。」
芦原から解放されてすぐに由里は茉莉を呼び出して全てを告白したのだった。
「須藤に脅された時も最初から新垣さんに相談しておくべきだったって反省したんです。だから・・・。」
「そうよ。貴女一人で解決しようなんて考えちゃ駄目よ。いいわ。私に任せなさい。後は私が何とかするから。芦原に呼び出された場所と時間だけ教えて。」
由里から場所と時間を聞き出すと茉莉は作戦を考えるのだった。
「芦原さん。居るんでしょ?」
由里に教えられた空きスタジオに茉莉は独りで乗り込んでいったのだった。
「お前・・・。確か手塚由里のマネージャーだったな。どうしてお前がここへ来るんだ?」
「由里はうちの事務所の大事な宝なのよ。貴方みたいな人の餌食になる訳にはゆかないの。」
「ふん。餌食か・・・。だがマネージャーだったら今どういう状況だかよく分かるよな。」
「由里の困るような映像を撮って、それをネタに由里を脅したって聞いているわ。いったいどんな映像を撮ったっていうの?」
「何だ。あの小娘から聞いていないのか?」
「恥ずかしくて自分じゃ言えないっていってたわ。何を撮ったの?」
「ふふふ。あいつがミニスカートの下はノーパンで本番の撮影に臨んだ時のスカートの中を撮ったものさ。」
「そ、そんな映像を週刊誌に売るって言って脅したのね?」
「ああ。俺のいいなりにならないんだったら売り渡してしまうぞってね。」
「やっぱりそうだったのね。それで由里にいったい何をしたのっ?」
「それは今から俺がお前に教えてやるよ。お前が今日はアイツの代わりになるって言うんだったらな。」
「私は由里を守る為だったら何でもやるわ。身代わりになれっていうなら私がなるわ。」
「ほう。本当にその覚悟があるのか今確かめてやる。何か仕組んでいるかもしれないからな。」
「確かめるって・・・。いったいどうするつもり?」
「まずはお前を縛らせて貰う。代わりになって何でもするって言うんならな。」
「し、縛って抵抗出来なくさせて・・・。そのうえで犯そうっていうのね。」
「そうさ。どうする? 尻尾を巻いて逃げるのなら今だぜ。ただし逃げればあのビデオは週刊誌に引き渡すまでだがな。」
「わかったわ。縛りたいなら縛るがいいわ。その上で好きにしたらいいわ。」
「よし。お前のすぐ傍の床に黒い帯がある筈だ。それを拾ってあそこの奥のパイプ椅子の上に昇って貰おうか。」
「パイプ椅子ですって。あの上にあがれって言うの?」
茉莉はスタジオの隅にパイプ椅子が少し離れた状態で並んで置いてあるのをみつける。
「そうだ。椅子は動かさずに片足ずつ乗せて上の立つんだ。」
「うっ。何を考えているのか知らないけれど、言う通りにするわよ。」
茉莉はおそるおそる慎重に椅子の上に乗るとゆっくり立ち上がる。
「こいつが何だかわかるよな。」
「け、剣山じゃないの・・・。」
「そう。小道具室から借りてきたんだよ。5、6個はあるかな。お前がパイプ椅子の上に乗ったら椅子の下に並べさせて貰う。」
「そ、そんなものを。何の為に・・・?」
しかし茉莉にはうすうす見当はついていた。
(パイプ椅子の上に昇らせて飛び降りられないようにするつもりね・・・。)
その時漸く手に握らされた黒い帯の意味が分かってきた。
「さ、椅子の上に昇ったらその手にした帯を目に当てて目隠しにして貰おう。」
「わ、わかったわ・・・。」
次へ 先頭へ