騙された新人女優とマネージャー
第四部
六十四
丁度その頃、別の放送局の地下駐車場から郊外へ向けて走り出る一台のスポーツカーがあった。運転しているのは由里と剛のスクープ記事を書いた須藤なのだが、既に別の暴露記事のネタ仕込みをしているのだった。一緒に乗っているのは走り出た放送局の売れっ子女子アナ、高島綾子なのだった。
「ねえ。いったい何処へ連れていくつもりなの?」
「ふふふ。二人だけでゆっくり話が出来る場所がいいかなと思ってさ。誰かの目がある場所じゃ話づらいだろ?」
「そ、それは・・・。そうだけど。」
「郊外の方にいいホテルを知ってるんだ。湖の畔にある眺めのいい部屋があってね。」
「それって、ラブホテルじゃないの?」
「ほう、さすがに察しがいいな。いつもアイツとこっそり使ってるとか?」
「・・・・。」
「答えがないところをみると図星って訳だ。まずいよな。超一流企業の看板アナウンサが妻子ある男に手を出しちゃったりしてはな。」
「貴方、どこまで知ってるっていうの?」
「それは、その部屋に着いたらじっくりとお話させて貰うつもりさ。」
それは須藤の常套手段だということをこの人気女子アナも知らない。本当はほんのすこしのネタしか持っていないのに、疑心暗鬼にさせて自分から更なる情報を白状させるのが須藤の得意なやり口なのだった。
綾子はさきほどから須藤が運転をしながら自分の身体の方へ手を伸ばしてくることが気に掛かっていた。その手を無下に振り払えない事情が綾子にはあった。
「ねえ、危ないから運転中にこっちに手を伸ばすのは止めてくれないっ?」
「って言うことは運転中じゃなけりゃ、いいってことだな。」
「そ、そんなこと、言ってないわ。」
「じゃ、運転中でもいいってことだな。」
「うっ・・・。」
弱みを握られていることが綾子にはどうしても強く出ることが出来ない。それが分かっているので須藤もだんだん綾子に伸ばす手がエスカレートしてくる。
「や、やめてっ。お願いっ・・・。」
須藤の手が襟元からその奥へ侵入してこようとするので綾子は慌てた。
「こっちが嫌なんだったら、こっちでもいいんだぜ。」
今度は須藤の手が胸元から滑り落ちて再び綾子の腿の上に置かれると穿いていたミニスカートの裾が捲り上げられる。
「だ、駄目ぇっ・・・。」
慌てて綾子は伸ばしてきた須藤の左手を両手で掴むと身体から引き離そうとする。その瞬間に須藤が持つハンドルの右手が大きく揺れた。
「あ、危ないっ・・・。」
反対車線に迫ってきていた大型トラックを観て綾子は大声を挙げる。その瞬間、須藤も焦ってハンドルを反対側に慌てて切り返すがその瞬間に車はコントロールを失っていた。
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