倉庫呼出し

騙された新人女優とマネージャー



 第四部



 五十六

 「何なんですか、芦原さん。急にこんな所に呼び出してっ。」
 アシスタントディレクターの芦原が由里を呼び出したのはドラマのセットが組まれたスタジオの片隅だった。芦原はそのドラマで使うスタジオの管理を任されているので、次の撮影までは数日間は使われないことになって誰も居ないその場所の鍵を開けて由里に内密の話がしたいと持ち掛けてきたのだった。
 「うん。誰も居ない場所が君に取ってもいいかと思ってね。鍵は掛けておいたから誰にも邪魔されないよ。」
 「誰にも邪魔されないって・・・? 何か誰かに知られると困ることなんですか?」
 「これを見てご覧?」
 そう言って芦原は一枚の画像がプリントアウトされた紙を手渡す。

脅迫写真見せ

 「えっ? これってこの間収録されたバラエティのクイズ番組の時のものじゃないですか。」
 由里は忘れかけていた記憶がふつふつと沸き起こってくるのを憶えた。
 「その写真をよく見てご覧。特にスカートの裾の奥。」
 そう言われてちょっと薄暗がりになっている膝と膝の間の隙間に目を凝らす。薄っすらとだが日開かれた膝の間が映っているのが分かる。しかも通常そこに見えるものは下着のパンチラ映像なのだが、パンティは写っていない。
 由里はごくんと生唾を呑み込む。
 (ま、まさか・・・。)
 「君だってよく憶えているよね。だって、あの日君はパンティも穿かないノーパン状態で撮影に臨んでいたんだからね。」
 「え、そんな・・・。どうしてこんな写真がここにあるのですか?」
 「おっ。否定しないところをみると、パンティを穿いてなかったのは認めるんだね。」
 「でも、こんなの。はっきりとは分からないじゃないですか。穿いてるか、穿いてないかなんて・・・。」
 確かに裾の奥に見えるのは薄暗がりだけで下着らしきものは見えない。だからと言ってノーパンだったとは言い切れない筈だと由里は抗議しようとする。
 「実はもっと鮮明に映ってるのもあるんだ。ピンスポットライトって知ってるよね。局部だけに焦点を当ててそこだけ明るくなるように照らすやつ。それを使った写真もあるんだよ。ほら、これ。」
 由里が渡されたもう一枚の方にはスカートの裾の奥にあたる部分が何かで明るく照らされているのだった。そしてそこには恥毛の翳りとともに縦一筋の割れ目が映りこんでいるのだった。
 「こ、こんなもの・・・。誰がいったい撮ったんですか。」
 「誰が撮ったかなんて問題じゃないんだ。何故パンティを穿いてないのかってことだよ。」
 「そ、それは・・・。」
 言える筈もなかった。知らないフリーの記者というのに脅されて呼び出された時に剛との密会のことを黙っていて貰う為にパンティを奪い取られた時のものだったからだ。あの時は収録まで時間が無くて、そのまま撮影現場に出なくてはならなかったのだ。だが、スカートの中は覗かせないように細心の注意を払っていた筈だった。だからこんな映像を録られていたとは思いもしなかったのだ。
 「これはあの時の撮影に使われていたある一つのカメラの映像を静止画に落としたものの極一部なんだよ。つまりばっちり映っちゃってる動画があるってことさ。」
 「そ、そんなもの・・・。どうしようって言うんですか.」
 「実は知り合いにスクープ週刊誌の記者が居てね。そいつが何かいいスキャンダルネタはないかって訊いてきてるんだ。」
 「まさか、そんな記者にこの映像を渡すっていうんじゃないんでしょうね。」
 「それは君の心掛け次第さ。僕だってどうしてもこの映像を売り渡したいって訳じゃない。」
 「売り渡すですって? だ、駄目です。そんな事・・・。えっ、わたしにどうしろと?」
 「実は僕、来週でこの局を辞めるんだ。正確に言うと辞めさせられるんだけどね。だから折角テレビ局みたいな普通じゃない場所に居るんで、今しか出来ないことをしておきたくてさ。」
 「今しか出来ないこと? 何ですか、それは・・・?」
 由里には何となく次に芦原が言いそうなことが分ってきた。この間の記者のようにお金を要求しているのではなさそうに思えたのだ。
 「い、いやっ。そんな事・・・。」
 「ふふ。まだ何も言ってないけどな。」
 「お金・・・、じゃないんですよね?」
 「さすが。君は頭がいい。察しがいいんだね。」
 「何が望みなんですか、いったい・・・。」
 「君みたいな可愛い娘が僕の言いなりになるところを観てみたいんだよ。」
 「言いなり・・・。」
 スクープ記者と聞いた時に由里はすぐに須藤のことを思い出していた。
 (あんな男の手にこのノーパン映像が渡ったりしたら、どんな酷い目に遭わされるか分かったものではなかった。それに比べればこの若いアシスタントディレクターの方がよっぽどましかもしれない。)
 「ねえ、私が貴方の言うことを何でも聞けばあの映像は私に渡してくれるのっ?」
 「ああ、俺が満足出来るまでのことをしてくれればな。」
 由里は須藤から受けた仕打ちのことを思い返していた。
 (でもあの男からされたことぐらいで済めば、どのみち同じことなんだわ。)
 「わ、わかった。約束してよ、貴方の言うなりになればビデオを渡してくれるって。それとここだけのことにしてくれるって。」
 「ああ、いいさ。どのみち、俺はこの世界にはもう長くは居られないんだからさ。」
 「じゃ、いいわ。何が望みなの?」
 「そうだな。まずはそのスカートを捲ってパンティを見せて貰おうかな。あ、いや。そこにそのまま脚を開いてしゃがむんだ。」

yuri

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