妄想小説
営業課長・桂木浩子 ～ 嗜虐の誘惑 （淫乱インストラクタ続編）
第七章
車が急に道路を外れると、木立の間の細い農道のようなところへ突っ込んで急ブレーキで止まった。前につんのめりそうになった浩子はかろうじてダッシュボードに手を突いて身体を支えた。浩子の膝からポシェットが滑り落ちていた。
「ど、どうしたんですか。」
おそるおそる運転手のほうを向いた浩子の視線に、ぎらついた目に脂ぎった表情の男の顔があった。浩子は顔面から血の気が引いていくのが感じられた。
「ちょっと休んで行こうや。」
男はそういうと、ズボンのベルトを緩め、するすると腹のまわりから抜き取った。それを見て、浩子は膝ががくがく震え出した。
「あ、あの・・・。」
しかし、男は浩子の様子などお構いなしだった。
「手、出しな。」
そう言うと、乱暴に浩子の手首を掴み、輪にしたベルトの片端に片手を通すと、それを絞り上げてからもう片方の手首にも巻きつけ、しっかり縛り上げると、助手席のドアの上にある手摺にベルトの端を結わえ付けてしまった。浩子が下手にもがこうとすると、下半身のスカートが捲くれ上がりそうになる。浩子の両手の自由を奪ってしまうと、男の手が剥き出しの浩子の内股に割り込んできた。
「い、いやっ。やめてっ・・・。」
浩子が必死になって両腿に男の手を挟んで攻入ってくる手を防ごうとしたが、所詮男の手に敵う筈もなかった。男の手はあっと言う間に短いスカートから露わになってしまっている逆三角の膨らみに辿り着いていた。その薄い布をするりと撫で上げると、その指を鼻の下にかざして匂いを嗅ぐのだった。
「しっとり湿ったパンティがいい匂いをさせているぜ。さて、ゆっくりと楽しもうぜ。」
男はそう言うと、一旦、浩子の身体から手を離し、ベルトを外したズボンのチャックをゆっくり引き下す。浩子は両腕に力を篭めるが、しっかり括り付けられたベルトはびくともしなかった。両手の自由を奪われては、ずり上がってしまった短いスカートを元に戻すことさえ出来なかった。
その恥かしさに打ち震えている姿を男はじっくり楽しむように見つめていたが、ふと床に落ちていたポシェットに気づいて、それを拾い上げた。
「ふうん、どんなものを持っているんだ。調べさせてもらうぜ。」
男はそういうと、浩子のポシェットの中身を探り始めた。そしてすぐに小型のビデオカメラが中に入っているのを見つけてしまう。
「何だい、こりゃ。随分、ちっちゃなビデオカメラだな。」
「あ、そ、それは駄目。中をみちゃ駄目っ・・・。」
慌てて叫んだ浩子だったが、その声が却って男に興味を惹かせてしまうことに気づいていなかった。
「何だ、いいものでも映っているっていうのか。どれどれ・・・。」
男は直ぐに巻き戻しボタンと再生ボタンを探り当てる。
「お、おおっ。何だ、こりゃ・・・。うっひゃあ、凄げえや。」
「や、やめてえっ・・・。お願いだから、見ないでぇ・・・。」
男はカメラのモニタ画面と、縛られた浩子の身体を代わる代わる見比べるように見ていた。男がビデオカメラのモニタの中に観てしまったものは最早疑いなかった。
「い、いやあっ・・・。」
突然の大声に、ダンプカーの運転手は身体をびくっとさせ、急ブレーキを踏みそうになる。
「どうしたんだい、突然に。」
不審そうに運転手に見つめられて、浩子は夢を見ていたことに気づいて慌てた。ポシェットはまだ膝の上に乗せられて、手でしっかり握られていた。
「ご、ごめんなさい。ちょ、ちょっと虫が・・・、虫が、這っているように見えたものだから。」
浩子は言い繕った。
「何を見て、勘違いしたんだい。おう、それより、ＸＸ町はもうすぐだぜ。ほら、あのでっかい建物、あれだろう、お前さんの言っているのは。」
そう言われて、浩子も前方の葦の原の先を見つめる。確かに草原の他は何もないような場所に大きなコンクリート造りの建物が近づいてきていた。辺りには雑木林が少しあるぐらいで人家のようなものは何一つ見えなかった。建物の後ろは少し小高い土手のようになっていて、その向こうには川が流れていそうだった。
「そうだ、携帯で連絡してみます。ちょっと待って。・・・。あ、あ、はい。私です。・・・今、すぐ傍まで来ています。・・・そう、そうですか。じゃあ、この辺で下して貰って待ってます。はい、すぐにお願いね。じゃあ。・・・あ、連絡がついたのでこの辺で結構です。停めてください。」
浩子は必死に演技した。携帯電話は勿論繋がっては居ない。全て浩子の独り芝居だった。建物はあるが、しいんとしてひと気はないようだった。誰一人居ない寂しい場所に、トラックの運転手と二人きりだと思わせてはならないと、咄嗟に浩子は思ったのだった。
運転手はトラックを止めた。
「ここでいいのかい。」
「ええ、今出てきてくれるっていうんで。どうもありがとうございました。おかげで助かりました。」
きっぱりそう言い切ると、ドアノブに手を掛けた。背後に運転手の視線を痛いように感じる。
トラックの横に出て、丁寧にお辞儀をすると、運転手は仕方なさそうにいった。
「じゃあな。襲われないように気をつけな。」
運転手は浩子の思いを見透かしたかのように言うと、再びギアを入れて、トラックを走りださせ、浩子に手を振りながら走り去っていった。
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