妄想小説
営業課長・桂木浩子 ~ 嗜虐の誘惑 (淫乱インストラクタ続編)
第十二章
漸く管理人が遠のいていく足音が聞こえてきた。それを聞いた安堵が、浩子の緊張を緩めさせてしまった。たちまち割れ目から小水が迸りはじめ、膝を緩めると目の前に見事な放物線を描いて放尿してしまう。小水がタイルを叩く音が、立ち去っていく管理人に聞こえたかどうかは、浩子には判らなかった。しばらく放心状態になって立ちすくんでいた浩子の元に誰も戻って来なかったので、かろうじて音は外には洩れなかったのだと思った。床のタイルにこぼした小水は最早音を立ててシャワーで洗い流す事も出来ず、そのまま放置するしかなかった。滴を垂らした下半身も拭うことも出来ないのだった。
(とにかく、さっきの部屋へ戻ろう。)
そう決めた浩子は、再び音を立てないように裸足のままの忍び足で廊下に出た。足の裏はまだ濡れているので、廊下に足跡が残ってしまう。しかし朝までには乾いてしまう筈だと思った。灯りのついた廊下から暗がりになっている階段へ入り込んだ瞬間、頭に何かがすっぽり被されて視界を奪われてしまった。両手は手錠で拘束されているので、振り払うことも出来ない。管理人が去ったばかりのこの状況では大声を挙げることすら出来なかった。視界を奪ったのは布で出来た袋のようなものだった。口につけられた紐が引き絞られ首のところで緩く結ばれると、自分では外せなくなってしまう。どうしていいのか判らない浩子を男の手ががっしりと二の腕のところで捉えた。男は浩子の背後に廻っているらしかった。両手で浩子の両側の二の腕をしっかり捉えると、前へ押し出してくる。浩子は促されるまま、前へ進むしかなかった。階段の前に来ると、一瞬押している力が止まり、浩子の身体を押し下げるようにする。それで、階段を下りさせようとしているのだと判った。見えない先を足先で探って、慎重に歩を進めた。浩子は手錠で自由を奪われた手を後ろに伸ばして、男の身体を探ってみたい衝動に駆られたが、どういう状況なのか判らないだけに、怖くて手を出せなかった。男は確実に自分を一階まで誘導しようとしているのは浩子にもよく判った。さっき去っていった管理人が何処に居るか判らないだけに、声も音も立てられなかった。
(まさか、自分の腕を捉えている後ろの男が管理人、本人ということは・・・・)
いろんな疑心が浩子の頭をよぎる。しかし、今は音を立てないように、後ろの男に誘導されるがままになるしかなかった。床が再び平らになると、男は少し歩みを速めた。歩いた歩数から、フロアの中央付近まで来たらしいことが感じられた。そこまで来ると男は二の腕を掴んでいた手を一旦離した。暫くじいっと立たされていたが、今度は二の腕に縄のようなものが巻きつけられた。どうするのかと不安な面持ちで立っていると、巻きつけられたロープで今度は後ろに引かれた。浩子が倒れないように、ゆっくり後ずさりすると、裸の背中に何やら固いものが当たった。冷たい感触は打ちっ放しのコンクリートのようだった。浩子は一階の食堂に何本か、コンクリートの柱があったのを思い出していた。どうもその柱の一本に括り付けられたようだった。その場所から身動きが出来なくされると、男は浩子の元から少し離れていった様子だった。それでも居なくなった訳ではなく何やらごそごそ少し離れた場所で操作をしている風だった。ビイーンという電子音がして、目隠しの布袋を通して、何やら灯りが点いたように思われた。今度はカチャリという音に続いてシャーっというホワイトノイズの様な音が暫く続いてから、シュルシュルという微かな音に変わった。(何をしているのだろう。)と浩子が訝しげに思っていると、突然頭の袋が引き剥がされた。咄嗟のことで、何処から誰が袋を引っ張ったのかも判らない。手錠を縄でがっちり柱に括り付けられて居る為に、目の前しか見ることが出来ない。暗闇の食堂の片端に大型テレビが点けられているのにすぐに気づいた。しかし、そこに映っている映像の中身に気づいて浩子は凍りついた。それはまさしく、その日の朝方、工場跡の古い便所跡の中で、小型ビデオカメラで撮影されたらしい、自分の姿だった。周りを窺がうようにして中に入ってくると、暫くしてスカートをたくし上げ、穿いていたショーツを膝のところまで下す。そしてそのまま脚を開いて男子用の便器に前から跨ったのだ。あさましい姿だった。背中側から撮られているのだが、音と共に、男子用小便器に放尿しているのがはっきり見て取れる。しかも小水はうまく便器に入りきらずに、一部は外へも跳ね出してしまっていた。その一部始終が誰も居ない筈の食堂の闇の中で煌々と映し出されているのだった。
(や、やめてっ。誰か、止めて・・・。)
そう声に出して叫びたかったが、状況がわからないだけに下手に声も挙げられなかった。ただ延々と繰り返し大型テレビのモニタに流される自分の痴態を手出しも出来ずに眺めているしかなかったのだ。テレビの明るくなったり暗くなったりする光の反射で、自分が食堂の柱に素っ裸で括りつけられていることが判った。目の前は食堂のサンルームで、外から見られたら丸見えかもしれなかった。人里離れた寂しい場所で、通り掛る者も居ないとは思われたが、窓越しに股間の茂みまで晒しているかと思うと、気が気でなかった。せめてもの救いは、テレビの反射してくる光の他は灯りはないので薄暗いことぐらいだった。しかし、その救いもすぐに裏切られることになる。突然、目の前に強烈な灯りがついて、浩子は目を眩まされてしまった。一瞬真っ赤な残像で何も見えなくなる。そこへ、横から男が近づいて来ていたらしく、まだはっきり見えない目にアイマスクを掛けてしまったのだ。アイマスクの布地を通しても、強烈な光が浩子の裸の身体に向けて放たれているのは、よく分かった。おそらくそれは舞台で使うスポットライトのような照明に違いないと思われた。浩子は自分の置かれた姿を思い描いてみて、はっとなった。真っ暗闇の野原の一軒屋である寮の建物に煌々とスポットライトが焚かれているのだ。その先には全裸に剥かれた女が背中の手錠で股間を隠すことも出来ずに括りつけられている。その姿は、サンルームのガラスを通して外からは丸見えなのだった。
(いや、やめて・・・。こんなこと・・・。)
あまりの辱めに打ち震えながらも、浩子は妖しい疼きが下半身に湧き起こってくるのを払いのけきれないでいた。
(こんな中で犯されたりしたら・・・。)
そんな思いを見透かしたかのように男が目の前に立ったらしかった。キーという何かを引き摺る物音は浩子の足許へ椅子を牽いてきた音らしかった。椅子は浩子の両脇に置かれているようだった。男の手が浩子の裸の足首を捉え、無理やりそれを椅子の上に乗せる。今度はもう片方の足首に手が掛けられた。反対側に置かれた椅子までは1m近くも離されているので、浩子は男に促されるまま、大股開きの格好で椅子の上に乗せられてしまう。二の腕を縛っている縄が立ち上がることを許さないので、浩子は脚をM字に開いて股間を晒すことになってしまっていた。その剥き出しの性器に男の屹立したものが押し当てられた。肉襞はもう汁が垂れるばかりにジュクジュクに濡れて太い男根を受け入れた。
「あううっ・・・」
初めて声を立ててしまうと、唇を噛むことでしか喘ぎ声を抑えきれなかった。男のモノはぐいぐいと浩子の背中をコンクリートの柱に押し付けるようにえぐってきた。
「い、いいっ・・・。」
遂に浩子は何もかも忘れて大声を挙げていた。
「き、来てえっ・・・。」
はしたなさを忘れた浩子の絶叫が、夜の闇に響いていったのだった。
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