
凋落美人ゴルファーへの落とし穴
第四部
七十
「さ、これでいいでしょ?」
「おっと待った。あの日は下着は着けていなかった筈だぜ。」
「え、し、下着を・・・。ブラもショーツも取れっていうの?」
「俺はあの日の格好になれって言っているんだ。」
「うっ・・・。わ、わかったわ。」
ヨンはストリップ・ゴルフの時にゴルフ場内でしたように、ポロシャツの裾から手を突っ込んで片方ずつ袖から手を抜くと、ブラジャーを片腕ずつ外して抜き取る。ブラジャーを外してしまうとスコートの裾からお尻の方へ手を突っ込んでショーツも引き下ろし、足首から抜き取る。

「さあ、お望みどおりノーブラ、ノーパンになったわよ。でも、こんな格好じゃ外どころかマンション内も歩けないわ。隣近所の住民にもヨン・クネの棲んでいるのはここだって気づかれないようにしているの。上には何か羽織らせて貰うわ。それとキャップとサングラスもね。」
「いいだろう。車に乗るまではな。」
「さっき車は私が運転するのだって言ったわよね?」
「ああ。俺はお前が逃げないようにずっとナイフを握ってなくちゃならないからな。お前が山から車で逃げた様子を見てて、車の運転はそこそこ出来るのだというのは知っているからな。」
「いいわよ、運転だけなら。ただ道はよく知らないので何処へどう行くのかは指示はして。それと運転するのなら運転免許証を持参しないと。」
「運転免許証だと?」
「ええ。もし途中で万が一、警察の検問とかあって免許証提示を求められると面倒なことになるでしょ?」
「ふうむ。ま、そりゃそうだが・・・。いいだろ。免許証は何処にあるんだ?」
ヨンは唐突に持ち出した運転免許証の話を男が不審に思わないか心配だったが、心の内は震えながらも、極力平静でいる振りをしてさり気なくテーブルの上にあったバッグに手を伸ばしたのだった。

次へ 先頭へ