妄想小説
アニーから銃を取れ
六
アニーは隙を窺うが、ショットガンを持ったロックフォードという男と、自分の拳銃を取り上げて銃口を向けているゴンザレスの二人の前では何も出来そうもなかった。アニーは言われた通り酒場から表に出る。その様子をキャサリンとジェインの二人の女給がこわごわと見守っている。
「おい、ゴンザレス。お前、牛追いの縄ぐらい扱えるんだろう。投げ縄でこいつの手首に縄を掛けろっ。」
「おう、任せておけってんだ。そりゃっ。」
ロックフォードから手渡された縄の束を器用にぐるぐる頭の上で回したかと思うと、さっと輪を作った縄をアニーに投げ掛ける。アニーは両手を挙げたままでじっとしているように命じられているので易々とゴンザレスの投げ縄に掛けられてしまう。ゴンザレスは縄の端をロックフォードに渡すと、更にもう一本の投げ縄でアニーのもう片方の手首にも縄を掛けてしまう。
「よおし。そしたらこの二つの縄を括りつけてしまうんだ、ゴンザレス。」
「あいよ。おい、アニー。おとなしく縛られるんだな。」
「くっ・・・。」
ロックフォードのショットガンがぴったりとアニーに向けられているからには、ゴンザレスが二つの縄を括りつけて両手の自由を奪われてしまう間、アニーは何もすることが出来ない。
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