妄想小説
アニーから銃を取れ
三
「おおい、そこの女ども。いつまでもグダグダ話をしてないで酒を持ってこい。」
カウンターの奥でバーボンを独り呑んでいたゴンザレスが女給たちを呼ぶ。その声に二人は震えあがって肩を竦める。
「は、はいっ。ただいまっ・・・。」
キャサリンがお盆の上にお代わりのバーボンをグラスに注いで震えながらゴンザレスの方へ歩み寄る。
「おい、おめえ。今、何か噂話をしてたろ。」
ゴンザレスがいきなりキャサリンの腕を掴んで引き寄せる。
「い、いえっ。何も・・・。」
「嘘吐くんじゃねえ。このアマっ。」
ゴンザレスはいきなり腰の銃を抜くとキャサリンの足元へ向けて一発ぶっ放す。
「きゃあっ。」
足元に一発撃たれただけで、弾が当たった訳でもないのに、キャサリンはへなへなとその場に腰を抜かして蹲ってしまう。
「おめえも、あのスーザンみてえになりたくなかったら、おとなしく俺様の言うことを聞くんだぜ。」
「わ、わかりました。ゴンザレス様っ・・・。」
「ようし。わかったって言うんなら酒の肴の座興に、そこでストリップでもやって貰おうか。」
「そ、そんな・・・。わ、わたし。踊り子なんかじゃありません。」
「へっ。踊り子だろうが、娼婦だろうが女は皆同じだ。男に取っちゃあな。いいから、そのテーブルの上に乗っかってスカート捲りあげな。」
「そんな事・・・。お赦しください。」
ゴンザレスの権幕に震え上がっているキャサリンは脚が震えて立上ることも出来ない。
「ほらっ、立てっ。」
ゴンザレスが更に脅しをかけるようにキャサリンの目の前の床を目掛けてもう一発ぶっ放す。
「ひえーっ。」
キャサリンが泣きそうになりながらスカートの裾を持ってやっとの事で立上る。
「弱い者苛めはそのくらいにしときな。」
突然、ゴンザレスの背後から甲高い声が掛かった。
自分に言われたらしいと気づいたゴンザレスが後ろを振り向くと、彼にしてみればまだ小娘ぐらいにしか見えない若い女が立っている。しかしその女の腰にはガンベルトが巻かれているのだった。
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