妄想小説
アニーから銃を取れ
四
「何だ、てめえ。女だてらに拳銃なんか持ちやがって。生意気だ。」
ゴンザレスが手にした銃を女の方に向けて手前の床に威嚇射撃しようとしたその時だった。
ズキューン。
「あうっ・・・。」
目にも止まらない速さで女が腰から銃を引き抜くと、あっと言う間もなくその銃口から飛び出た弾がゴンザレスが手にしていた拳銃を弾き飛ばしたのだった。
「くっ。てめえ・・・。」
ゴンザレスが弾き飛ばされた拳銃を拾い上げようと手を伸ばすと女から発射された二発目が物の見事に再び拳銃を更に遠いところへ弾き飛ばす。
「わたしを甘く見ないほうがいいわよ。」
「お、お前・・・。何者だあ。ま、まさか・・・。あの、ガールガンレディとかいう奴じゃあるめいな。」
「だったらどうだって言うの? 確かにガールガンレディとは呼ばれているけど名前じゃないわ。アニーよ。アニー、ザ・ガールガンレディって訳ね。」
「畜生っ、ふざけるな。女の分際でっ。」
再びゴンザレスが自分の拳銃の方へ歩み寄ろうとするが、その足元をアニーが放つ拳銃の為が正確に射止め、ゴンザレスを前に進ませない。
「うっ、て、てめえ。どうしようってえんだ。」
「お前がそこにいる女給たちに働いた狼藉も赦せないが、お前にはもっと許し難い罪がありそうなんでね。しっかりと白状して貰おうか。」
「い、いったい何のことだ?」
「さっき、そこの女給たちが話してたスーザンっていう女の事だよ。」
「スーザンだと。あのクソ生意気な女か。」
「言葉に気をつけるんだな、ゴンザレス。スーザンはわたしの実の姉だよ。」
「な、何だって? じゃ、お前はあの女の妹?」
「お前が私の姉に何をしたのか、それによっちゃ容赦しないよ。さ、すっかり白状するんだ。スーザンに何をした?」
「な、何をしたって・・・。あいつを反省させる為に樹に縛りつけといただけさ。」
「反省させる為? 男たちに慰みものにされるのに何の抵抗も出来ないようにしておいてか?」
「お、俺が犯した訳じゃないぜ。」
「何を今更・・・。お前が犯したも同然じゃないか。この落とし前はきちんと付けさせて貰うよ。」
「ま、待ってくれっ。ち、違うんだっ。俺は、ただ・・・、そ、そのう・・・。」
怒りに震えるアニーがゴンザレスの眉間にぴたっと照準を当てたその時だった。
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