妄想小説
アニーから銃を取れ
十二
「あううっ・・・。ち、畜生・・・。お、俺の・・・、俺の指が・・・。」
ゴンザレスは下半身丸出しなのも忘れて吹き飛ばされた指を見つめて茫然と立ち竦んでいる。
「ゴンザレス。もうアンタは一生銃は握れないわよ。自業自得よ。」
キャサリンに残りの縄を解いて貰いながら、アニーが裸のままそう言って立上る。
「ありがとう、キャサリン。もう大丈夫。」
「もう大丈夫って・・・。あなた、裸なのよ。これを着てっ。」
キャサリンは持ってきた急拵えのズボンをアニーに穿かせる。
「姉さん、大丈夫。」
肩を撃たれた姉のスーザンを気遣って絞首台の上からアニーが声を掛ける。
「大丈夫よ。血は出てるけど掠っただけだったわ。」
「今の銃声はロックフォードにも聞こえた筈だわ。直に奴もやってくる。最後の片は私が付けるわ。皆、下がっていて。」
皆が振り向くと、町のほうから黒い影が近づいてきていた。手には既に銃が握られている。
「大丈夫よ。私に任せて。正面からの決闘なら負ける筈がないもの。」
アニーはそう言って銃を構えてロックフォードを待ち受けるのだった。
完
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