早季子先生
九
地獄の責め苦はすぐに始まった。股間の中心が猛烈に痒くてたまらない。歩けばこすれて更に感じてしまう。思わず手を伸ばして掻きむしりたい。が、生徒たちの目の前でそんなはしたない真似が出来る訳がなかった。
しかたなく、教壇のすぐ横に立って、教壇の角がスカートの股間に当たるように押し付けてこらえた。一番前の生徒から見れば、明かに不自然な格好である。それでも、そうでもしていなければ堪え切れなかった。幸いまだ誰も気付いていない様子だった。
早季子は生徒たちに順番に教科書の朗読をさせて、ごまかしていた。みんなの目が教科書のほうにあるのを確かめてから、教壇の後ろで素早く股間を掻いた。
それでも、健二と勝の二人だけは早季子から目を離さなかった。秘密を知っているのはこの二人だけである。この二人に見られるのは仕方なかった。
どうやら、ふたりは机のしたで早季子の悶える様子をみながらオナニーをしているようだ。しかし、それを叱ることも早季子には出来ないのだった。
どうにも我慢出来なくなった早季子は椅子を教壇の後ろに持ってくると、座って授業をすることにした。教壇の奥に深く腰掛け、股間に伸ばした手が見えないように工夫した。
「この中世後期の文芸における革命的出来事とも言える・・・。」
授業をしながらも教壇の下でスカートを少し捲り上げ、股間の疼きをなだめている早季子の指の動きは、どうしても次第にエスカレートしてくる。
「先生、どっかおかしいんですか。教壇が何だか揺れていますよ。」
後ろのほうから、健二がわざと大きな声で言い放った。
みんなの目が一斉に早季子のほうを向いた。早季子はみんなに知られたような気がして思わず真っ赤になった。
怒り出したいのを必死で堪えた。ここで騒ぎを起こすと、更にどんな悪戯をしかけられるか分からないからである。
「いいえ、どうもしてませんよ。それより、健二君。今度はあなたが少し朗読してください。」
「いいですよ。でも、先生。みんなによく聞こえるように前に立って読んでもいいですか。」
健二の企みはすぐに分かった。しかし、ここで健二に逆らうのは得策でないと思った。
「いいわ・・・。いいわよ。前に出てきて頂戴。」
健二はすっと出て、教壇の斜め後ろに立つと、朗読を始めた。健二の立つ位置からは早季子の左手の動きが丸見えである。
それでも、みんなの目を盗んで股の中心の痒みを慰めずにはいられなかった。
朗読している健二のズボンの膨らみは勃起していることを示している。しかし、それに気付いているのは早季子だけであった。
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