新任教師 美沙子
十
美沙子は両手にソフトクリームを持たされ、スカートは風に翻るまま、内股からはおむつから漏れる小水に濡らしながら茫然とたっていた。もう、もはや周りの眼も気にならなくなっていた。あまりの仕打ちに神経が麻痺してしまったかのようだった。
「いつまで、そうしてスカートの下を晒してるんだい。もう、いくぞ。」
美沙子の手からソフトクリームを取り上げ、ちかくのゴミ籠に放り込むと、男は美沙子の前を、再びデパートの中のほうへどんどん先に立って歩いてゆく。美沙子は置いて行かれないように只後を付いて行くしかなかった。
再びエレベータに乗らなければならなかった。しかも運悪く、さっきのエレベータガールだった。
美沙子は下を俯くが、エレベータガールのほうは、明らかに気づいて美沙子をじっと観察している。下半身の異変にも気づいたようだった。
美沙子は少し急激に動くと、おむつからどんどん小水が漏れ出してしまうので、出来るだけそっと歩かなければならなかった。
「おむつ売り場はどこだい。」
男が平然とエレベータガールに聞く。その言葉に美沙子は顔を真っ赤にしてしまう。
「3階がベビー用品売り場になっております。」
「いや、大人用だよ。」
ひとつひとつの言葉が美沙子をどんどん辱めてゆく。
「シルバー用品でしたら5階でございます。それでは5階まで参ります。」
エレベータガールは何も気づかない振りをしているが、明らかに美沙子の股間を想像している様子だった。
5階で降りた二人は真っ直ぐシルバー用品売り場へ向かう。男は更に辛い命令を発した。
「自分で、おむつを下さいと言うんだぞ、いいな。」
すこし可愛い顔をした小柄な娘が応対に出てきた。
「あ、あのう、 ・ ・ ・ お、おむつは、紙おむつはありますか。」
「ええっと、どれくらいのサイズですか。」
売り子の娘は無邪気な顔で訊く。美沙子は答えられない。
「こいつが自分で穿くんだよ。」
後ろから男の非情な声がした。
「お、お客様でございますか。」
売り子は怪訝な顔をするので、更に美沙子はいたたまれなくなる。
「それでしたら、S、 ・ ・ ・ か、いやMサイズですね。これ位でいかがでしょうか。」
売り子はサンプルをショーケースの下から出した。
「広げて当ててみろよ。」
男は更に辱めるように言う。
「いえ、いいんです。これで。これを下さい。」
美沙子は早くこの場から離れたかった。
「すぐに使うので、一つだして残りだけ包んでくれ。」
男がすかさずそう注文する。
「はあ、そうですか。では。ひとつだけ。いま残りをお包みしますので少々お待ちください。」
売り子は美沙子の手に、ひとつだけ紙おむつのパックを渡すとレジに戻って、紙袋に包装しはじめた。
男が渡した金のお釣りと、紙袋に包まれたのこりのパックを売り子が持ってくると、男は美沙子を前に突き出すようにして更に辱める。
「こいつ、使い方がよく分らないんで、教えてやってくれるか。」
美沙子が逃れられないように、男は美沙子のドレスの後ろをしっかり掴んでいる。無理矢理逃げようとでもすれば、スカートが捲くり上がってしまう。
「そう、ですか。では。 ・ ・ ・ ええっと、ここのギャザーの部分を開きまして、ここのテープをこういうふうに剥がしまして横の2箇所でこう留めます。これでお分かりでしょうか。」
「どうだい、分ったかい。よし、そしたら折角だから、ここで付け替えてゆけよ。」
その言葉に売り子は唖然として美沙子を見つめる。
美沙子は男が許してくれないことは充分に分っていた。従う他はないのだ。
美沙子は一旦、紙オムツの包みを横のショーケースの上に置くと、下を向いてゆっくりスカートの中に横から手を入れる。スカートが捲くり上がらないように気をつけながら、横のテープを探り剥がしてゆく。気をつけてやったつもりだったが、滴がポチャリと音をたてて、美沙子の脚の間に落ちて床を濡らした。売り子は目を丸くして見つめている。
美沙子はそれを無視して、股間の濡れてじっとり重くなった紙おむつをそおっと外すと、こぼれないように気を付けながらそれを丸めた。さきほど貰った紙袋の中にそれを入れると、ひとつだけ出してあったパックを取り広げる。もう一度、美沙子は確かめるように男のほうを見上げるが、男は冷たい表情のまま、許してくれそうな気配はない。
仕方なく、美沙子は紙おむつを広げると脚を大きくひらき、腰を屈める。
スカートの下にそれをあてがう様はとても屈辱的だった。
売り子のほうは、あまりの出来事に言葉も出ない。ただ、唖然として美沙子の動作を見つめるばかりだ。
美沙子は片方の手をスカートの奥につっこんで、紙おむつをあてがいながら、もう片方の手をスカートの中に横からいれて、粘着テープを止める。両側を止めてしまうと、紙袋を取り上げ、もう売り子のほうを見ないようにして、その場をとにかく離れることにした。
幸い、売り子の他は誰も見ていないようだった。男が後ろから着いてきているかどうかももう恥ずかしさに確かめることすら出来なかった。エレベータの前を通りすぎ、階段の角に隠れて始めて立ち止まり、美沙子は唇を噛んで泣き出した。
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