穿き替え

新任教師 美沙子





  八

 男が美沙子を次に連れていったのは、デパートの婦人服売り場だった。そこの中央にある試着室の中へ美沙子を無理矢理入らせる。
 「いつまで、その小便臭い格好で居る気だい。着替えさせてやるから着てるものをすべてそこで脱ぎな。」
 美沙子は下半身のじとっとした感触から逃れられるとほっと安堵する。
 「お願いです。言う事を聞きますから、両手の戒めを解いてください。指が千切れそうに痛いのです。」
 美沙子は背中を男に向けて縛られた両手を突き出す。その親指の付け根は赤く腫れ上がっていた。男は黙ってそれを見ていたが、ポケットからナイフを取出すと、美沙子の両手の自由を奪っていたプラスチックのクリップを漸く切り落とした。
 やっとのことで腕の自由を与えられ、蹲って赤くなった指をさすっていた美沙子だったが、男の次の命令が待っていた。
 「着てるものを全部この鞄の中にいれろ。新しい服はその後、差し入れてやる。下着から上着も全部だ。」
 男はいつ用意したのか、試着室の中に鞄を差し入れてきた。両手の戒めを解いてもらったばかりだ。ここで逆らえば、またどんな嫌な目に会わされるか分らない。美沙子は慌てて着ているものを脱ぎ始めた。
 顔を洗いたかったが、そんなことを許してくれる筈もなかった。仕方なく、着ていたブラウスで顔を拭い、濡らしたスカートとストッキング、そして下穿きも脱いでしまうと、下半身もそれで同じ様にブラウスで拭き取った。汚れていないブラジャーは脱ぐ必要は無かったが、男は全部取るように命じていた。命令に逆らった罰が怖かった美沙子は、全裸になって着ていたものを手早く男が渡した鞄に詰めた。
 「いいわ。」
 美沙子がそっと声を掛けると試着室のカーテンの下から男の手が鞄を奪い取るように引出した。後には全裸になって首輪しか着けていない美沙子が残された。
 (これから着るものを買いにゆくのだろうか。)
 男が既に新たに着るものを用意しているとは思えなかった。美沙子は男の様子を窺ったが、しんとして気配がない。裸の格好を見られないように用心しながら顔だけカーテンの横から出してみると既に男は鞄を持ったまま消えていた。
 デパートの館内はかすかにエアコンが効いているようだった。さすがに全裸では肌寒い。美沙子は両手を胸の前で組んで身体を縮めるようにして寒さに耐えていた。しかしそうするうちに、さっき出したばかりなのに、また尿意が募ってくるのを感じていた。薬のせいとは思いもしない。
 (嫌だわ。どうしてしまったのかしら。)
 しかし、今度は急激だった。何も着ていない格好のままではトイレに駆け込む訳にもいかない。トイレはデパートの反対の端で、他の客や店員の目を掠めてはとても辿りつけそうもない。
 再び、もじもじしながら男の帰りを待たねばならなくなったのだ。

 しかし男は今度は割にすぐに帰ってきたのが足音で分った。念の為、カーテンを少しだけずらして確かめる。
 「あの、また催してしまったのです。早くしてください。でないと、もう我慢できなくなりそうなのです。」
  「そうか。 ・ ・ ・ 」
 しかし、男はそのまま歩み去ってしまう。残された美沙子は絶望に近い思いで、太腿の間に手を添えて股を締め付けるようにして募り来る尿意と戦っていた。

 「これにするんだ。」
 突然の男の声と共に、カーテンの下から何やら突っ込まれてきた。それは、すこし大きめのガラス製の花瓶のようであった。どうみても尿瓶ではないが、それをその代わりに使えということらしかった。
 (いや。)口に出して言いそうになったが、逆らった罰が怖かった。おそるおそるその花瓶を受け取ったが、すぐそのままするのは躊躇われた。

 しかし、利尿剤の効果は強力で、とてもそれに打ち勝つことは出来なかった。美沙子はうずくまると股を大きく広げて花瓶のガラスの口をあてがった。途端に激しい本流が迸り出る。その時、突然カーテンがさっと開け放たれた。あまりの急のことで美沙子はカーテンを抑えることも出来なかった。しゃがんでいるので、捲り上げられたカーテンの裾まで手が届かない。
 一度放尿を始めたら、もう止められなかった。花瓶はジョロジョロと恥ずかしい音を立てている。美沙子は他の客や店員に気づかれないことを祈るしかなかった。

 殆ど出し終えてから花瓶を股間に押し当てたまま、中腰になりカーテンの裾を引っ張る。男が残忍な顔で美沙子の痴態を見下ろしていた。
 2度までも浅ましいシーンを男に目撃されてしまった美沙子は恥ずかしさに耳たぶが真っ赤になっていた。男はカーテンの横からポケットティッシュを投げて寄越した。美沙子はそれを拾うとなかから一枚をとりだして、股間を拭い、丸めて花瓶のなかに落とした。

おしめ


 男が次に投げ込んだのはなんと紙おむつだった。そんなものを身に着けさせられる屈辱は堪えがたいものがあったが、妙に頻繁にやってくる尿意と残尿感を考えると着けざるを得ない。
 (あの男の命令だから従うしかないのだわ。)
 そう美沙子は自分に言い聞かせる。たたんであるその白い包みを広げる。そんなものを使ったことも見たこともなかった美沙子は、正しい使い方も知らない。しかし何となく着け方は分った。
 股間に後ろから当て、両側の横をマジックテープで留める。試着室の中にある鏡に映る姿はぶざまだった。
 男が次に渡してくれたのは薄手の真っ赤なワンピースで、殆どスリップに近い。着けてみると、丈は股ぐらぎりぎりまでしかない。フレアがかかっていて、風に舞い上がりそうだ。下着は渡されなかった。試しに腰を屈めて鏡で確かめる。少し不用意にしゃがむとスカートの下が丸見えになる。白いおむつはまるでテニスのアンダースコートの様だ。
 美沙子はしかしチェックしている暇もなく、男の手で引きずり出された。首輪の鎖はやっと外してもらえたが、首輪を外すことは許されなかった。
 男は試着室の隅に置いておいた小水の溜まった花瓶を顎で指し示す。美沙子はどうすればいいのか分らないまま、こぼさないように両手で持ち上げた。
 「元のところに戻しておけ。」と、横の奥の方にあるガラス製品売り場を指差す。どうやらそれは売り場にあったものをそのまま持ってきたものらしい。
 「でも、中身を捨ててこないと、 ・ ・ ・ 。」
 「いや、そのままでいい。そのまま記念に飾っておけばいい。」
 美沙子はあたりを憚って見まわしてみる。幸い近くには誰も居なかった。男の言うことに逆らうことは所詮出来ないと悟っていた。花瓶を目立たないように腰のあたりに抱え、そっとガラス製品売り場に近づいていく。
 「あの化粧棚のまんなかだ。」
 大きめのガラス製品が並ぶ棚があって、後ろは鏡になっており、陳列物がきらきら光っている。一つ分空いた場所があって、そこに多分あったのだろう。美沙子は再びあたりを見回して人の居ないのを確認してから、小水の入ったままの花瓶をそこへ戻す。ほんのりと黄色みを帯びた液体のなかにティッシュがまるまってふやけている。

 誰も気づかないにせよ、自分の小水を公衆の面前に晒されるのは恥ずかしかった。美沙子はそれを直視できなかた。
 そんな美沙子を男は引っ張るように、その場から連れ出した。すこしフレアのある赤いミニドレスは、急激に動くと裾が翻って、その下が見えてしまいそうになる。白い紙おむつを穿かされている美沙子は気が気でなかった。裾を気にしながら、男に手を取られて引かれてゆく。
 男が連れてきたのはデパートのエレベータだった。エレベータガールが運転するそのエレベータは、通りに面していて、ガラス張りになっている。そのガラスの一番外側に美沙子は立たされた。急激に上昇するそのボックスは、下の通りから見上げると美沙子のドレスの下を覗かせてしまいそうだった。美沙子は恥ずかしさに外を見ることも出来ず、背中で持たれかかって、尻が覗かれるのは気づいていない振りをすることにした。

次へ TOP頁へ戻る


ページのトップへ戻る