看護25

妄想小説

恥辱秘書






第五章 付き添い婦への姦計


 九

 ズボンを曲りなりにも穿かせてしまうと、今度は自分の股間の物を何とかしなければならなかった。
 もう、何時美紀が戻ってきてしまうかもしれなかった。焦る気持ちを抑えながら、スカートの裾を捲る。
 急げば、ビニル袋から小水を床に洩らしてしまう可能性があった。格好は無視して大きくがに股に脚を開き、スカートを股間丸出しに捲り上げてしまってから慎重に腹に貼られたガムテープを剥がしてゆく。そしてその端をしっかり掴むと、今度はお尻のほうを剥がしに掛かる。目に見えないところなので、慎重の上にも慎重を期さねばならなかった。
 やっとのことで何とか尻のガムテープも剥がすと、中身をこぼさないように慎重にビニル袋の口をまとめて、ガムテープの片側で口を括ってこぼれないように塞いでしまう。
 ここまできて、やっと脚を閉じれるようになったが、小水の袋の処理に困ってしまった。それを隠すうまい場所がないし、下手に放置すれば、取り返す手段にも窮してしまう。
 散々迷った挙句、応接室を出るまでは看護服の下にそうっと隠しておくことに決め、看護服の前ボタンを外してはだけさせると、もう一枚のガムテープでブラジャーにしっかり括りつけた。チャポンチャポン音がして気持ち悪かったが、股間に貼り付けてスカートの裾から覗かせているよりはよっぽどましだった。
 急いで前のボタンを嵌めて隠す。胸を張ると妙に膨らんで不自然だが、上半身を前に屈めていれば、胸の膨らみの下に隠れて目立たないようだった。

 ストレッチャーを元の位置に戻して、身繕いを直して居る時に美紀が戻ってきた。
 「そろそろ終る頃かしら。」と美紀が言われて、やっと点滴が終わりかけているのに気づいた晴江だった。点滴注射をしようとしていると、吉村が気づいて目を醒ましたようだった。
 「おお、だいぶいい気持ちになって寝ちまったようだな。今日はなんだか妙に眠くなって仕方なかったんだ。」
 注射を外してもらい、その後に絆創膏を晴江に貼って貰いながら、眠そうな目をこすって身を起こした吉村だった。
 「おやっ。」
 吉村は自分のズボンからシャツがはみ出ているのに気づいて声を挙げた。晴江は、美紀のほうを盗み見るように横目で確かめながら、さり気なさそうに言う。
 「ああ、あの寝ていらっしゃる時に、苦しそうに寝返りを打たれていたので、衣服を緩めて差し上げたんです。なんだかうなされていらっしゃった様子でしたので。」
 咄嗟に晴江は嘘をついた。
 「えっ、俺が寝ている間にズボンのベルト、緩めたの。まさか、寝ている間に犯されちゃったかな。」
 いつものセクハラ気味の冗談だったが、晴江には血の気が引く思いがした。晴江の脳裏に吉村のスペルマのねばねばした感覚が舞い戻ってきた。
 「嫌ですわ。そんなこと仰っているとセクハラで訴えられますよ。」努めて平静を装いながらそう笑い飛ばして誤魔化す晴江だった。
 そこへ芳賀がやってきた。晴江は吉村や美紀に気づかれないように芳賀に向かって目配せするが、芳賀は知らん振りをしている。
 「じゃ、深堀さん。重役を席までお連れして。後は、僕と田代さんとでこちらは片付けておくから。」
 芳賀の言葉に、美紀は吉村が上着を羽織るのを手伝い、靴を傅いて吉村の前に揃えて置いて穿くのを手伝ってから、おもむろに吉村とともに先に応接室を出ていった。
 後に残された晴江は、芳賀に憐れみを乞う目付きで向き合った。
 「もうこの足のものを外してください。」
 「その前に、股間のものはどうしたか言ってみろ。」
 「・・・・。」晴江には答えられなかった。
 「ふん。まあ、いいさ。お前の考えることぐらいみんなお見通しさ。お前の足枷の鍵は、診療所のお前の席の机の上に置いておいてやったから、戻ってから外すがいいさ。」
 芳賀は冷たくそう言い放つと、絶望に呉れる晴江を残して芳賀は立ち去っていった。後に残された晴江には最早芳賀に頼みこんでも無駄なことは理解していたが、途方にくれていた。
 足首に手錠を嵌めたまま、建物の外へ出て、ストレッチャーを押して行かねばならないのだ。吉村の下半身を隠すのに使っていたシーツをストレッチャーの上に掛けて端を態と下に垂らし、足首に繋がれた手錠が嵌められているパイプ辺りを隠し目立たないようにするが、晴江の足元をまともに見つめられたら、足首に嵌められた手錠は隠しようがない。
 それでも、誰にも気づかれないことを祈りながら、晴江にはストレッチャーを押してただ診療所まで戻るしか手はなかった。

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