看護26

妄想小説

恥辱秘書






第五章 付き添い婦への姦計


 七

 「芳賀さん。お願いです。もう、これ以上我慢できません。何とかして・・・。」
 必死で懇願する晴江だった。もう腰を屈めて股間を押さえている。最早普通には立って居られないようだった。
 そんな必死な様子の晴江に侮蔑の眼差しを向けると、芳賀は持ってきたものをそっと晴江のほうに差し出す。怪訝な顔で手を出した晴江に手渡されたのは、一枚のビニル袋とガムテープだった。
 「スカートを持ち上げて、股間にそれを貼り付けて、その中に出すんだ。早く準備しろ。もう一刻も猶予はないんだろ。」
 嘲るような芳賀の口調に、構っている余裕はなかった。すぐさまスカートの裾をたくし上げるとビニール袋を股間に通し腹の部分にガムテープを引き千切って貼り付ける。もう一枚のガムテープを千切ってお尻の側を留めたところで、芳賀が大きな声を上げた。
 「おーい、深堀君。入ってきてくれ。」
 非情な芳賀の声に、恨むような目を向ける晴江だったが、ドアのノブが廻る音を聞くと、慌ててスカートの裾を下ろす。美紀が入ってくるのには間一髪間に合った。
 「ああ、深堀くん。君には万一のことを考えて、やっぱり看護婦の田代君に付き添っていてもらおうと思うんだ。いいね。」
 「ええ、私でしたら。」そう言うとどんどん部屋へ入ってきて、ストレッチャーの傍までやってくる。晴江は繋がれていないほうの足を美紀の方に向けて、足枷を気づかれないようにする。
 「あら、・・・。」
 突然、美紀が素っ頓狂な声を挙げた。
 眼の前に仰向けに寝ている吉村の下半身には薄手のシーツが掛けてあるが、醜く太って出っ張った下腹の更に下方がもっこり膨らんでいる。しかも無造作に掛けられたシーツの端からは黒い靴下の上に脛毛生えた足が少し覗いてしまっていた。
 晴江はちらっとそれを見たが、気づかない振りをした。美紀も吉村の股間部分の膨らみにはそれ以上触れないことにして、ベッドの周りをぐるりと一周すると、さっきのソファに座り込んだ。
 「じゃ、頼んだよ。深堀君と田代君。」
 二人の名を苗字で再度呼ぶと、芳賀は出て行ってしまった。突然やってきた静寂に、晴江のほうが戸惑った。もう我慢の限界を超えていた。が、音がしてしまうかもしれないと思うと、必死で堪える。

 (ああ、もう駄目。)観念した晴江の下半身が生温かくなる。すぐにポタ、ポタ、ポタという聞き慣れない音が何処からともなく聞こえてくる。晴江は顔が火を吹いたように赤らんでいくのを感じていた。
 スカート丈が短いので、ビニル袋は裾から覗いてしまっているかもしれなかった。が、怖くて晴江は自分の下半身を見ることさえ出来なかった。
 放出しきって、尿意がやっと収まった後も、暫くポタ、ポタ、ポタという音は続いていた。晴江には漏れ出すことが怖ろしくて身動きすらままならなくなった。それどころか晴江にはもう脚を閉じることも出来なくなっていたのだ。歩く時にも股を閉じないようにして歩くしかないのだった。
 晴江は美紀が不審がってこちらを観ているのではないか不安で仕方なかった。だが、それも怖くて美紀のほうを振り返る勇気が出なかった。
 その時、突然インターホンが鳴る。晴江は足が繋がれているので、インターホンを取ることが出来ない。美紀が秘書らしく、さっと立ってインターホンを取る。
 「はい、役員応接室です。・・・はい、居りますけど。・・・あ、そうですか。ちょっとお待ちください。・・・田代さん、芳賀課長から、渡さなければならないものがあるんだそうです。ちょっと取りに来て欲しいということなんですけれど。」
 晴江はその非情な言葉に電気ショックを受けたように震え上がった。(その場を動けないようにしている張本人は芳賀ではないか。その芳賀が、何も知らない筈の深堀美紀の前で、動けない言い訳をしろとは・・・)晴江は怒りよりも、自分の置かれた惨めな立場に涙が出そうになる。
 それをやっとのことで堪えて、力なく美紀に向かって頭を下げる。
 「申し訳ないんですけれど、規則で看護婦としてこの場を離れることは出来ないんです。お願いです、深堀さん。私に代わって、芳賀課長のところへ行って貰ってきて頂けないでしょうか。」
 泣きそうな顔になりながら、やっとのことでそう言い繕った晴江だった。
 「え、まあいいわよ。言ってきてあげるわ。」
 美紀は特に追求はしないで、そう言うと、インターホンを置くと扉から出ていった。

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