誘惑4

妄想小説

恥辱秘書






第十七章 仕組まれた罠


 五

 その日は、裕美の脚を散々触らせるのと、スカートの奥の下着を存分に覗かせるまでで、何とか切り抜けて秘書室に舞い戻った裕美だった。しかし、その時から、明らかに長谷部が自分を見る目つきが変わってきたことには気づいていた。これまでも、長谷部とふたりだけで執務室に居ることは何度もあった。が、密室でふたりきりになることに次第に不安を憶えるようになってきた。長谷部が背後に居る時には、つねに身体に視線を感じるようになっていた。
 出来れば隙のあるような格好は避けたかった。が、情報屋からの指示の命令メールは、裕美には飛び切り短いスカートを穿くことしか許さなかったし、裕美の身体に伸びてくるようになった長谷部の手をあからさまに振り払うことも出来なかった。

 長谷部が裕美の挑発的行動により欲情が芽生え始めてから一週間目に、かねてからの計略は実行されたのだ。実施にあたっては、裕美は情報屋と名乗る男から送られたシナリオを何度も暗誦し頭に叩き込むよう指示されていた。通常ならば裕美には決してそんな真似は出来なかったに違いない。その裕美を駆り立てたものは、毎日の指示の命令に添付されてくる、裕美の過去の恥ずかしい痴態の写真だった。それをばら撒かれる恐怖から逃れられるのだという思いが、これさえ実行すればと、裕美を奮い立たせるのだった。

 その日は珍しく長谷部にさしたる用がなく、出掛ける用事もない長谷部にとってゆっくり出来る日だった。
 朝から、裕美はいつもの短いスカートの制服ではない本来の丈のものをわざわざ纏っていた。それもシナリオに指示されたものだ。朝からお茶を淹れる動作も、つとめて素っ気無くするように言われていた。当然、長谷部はもどかしく感じ、気になって仕方がない。
 「内村君。制服がいつもとは違うようだが。」
 気になって仕方ない長谷部はつい裕美に訊いてしまう。
 「いつもの制服はちょっと汚してしまって、クリーニングに出しているものですから。長めのスカートもシックでいいものではないかと思うのですが。」
 「そうかな。僕はいつものほうが、可愛いと思うけど・・・。」
 長谷部は不満そうに言うが、裕美はわざと取り合わない。

 そして、それは誰も来る可能性が最も低い昼下がりに実行に移された。裕美はいつもの短いスカートに穿きかえる。午前中、素っ気無くして長谷部を充分焦らした上での行動だった。
 執務室の長谷部に午後のお茶を持って行くとインターホンで電話した際に、内密で相談をしたいことがあると持ちかけたのだ。
 お茶を持って長谷部の部屋へ入ってきた裕美が、いつもの短いスカートに穿き替えているのに気づいた長谷部は、思わずにやっとする。
 「おや、着替えてきたんだね。」
 つとめてさり気なさを出すように、ぽそっと言った長谷部だったが、心の中は躍っている。
 「ええ、クリーニングから戻ってきたので。専務もこちらのほうがよいとのことでしたので。」
 そう言いながらいつもよりずっと長谷部の近くまで寄り、お茶の入った湯のみを机の上に置く。
 長谷部の机の上には、書類が散らかっているので、それらを汚さないように綺麗に整理して、脇によけて置く。その時に、必要以上に長谷部に裕美は身体を寄せる。机の向こう側にある書類も、長谷部の身体の前に乗り出すようにして手を伸ばすので、ずり上がってしまうスカートから露わになる太腿が、長谷部の手に触れそうになる。長谷部はついそこに手を伸ばしたくなるのを、もう一歩のところで堪えている。
 書類を綺麗に整理して机の真ん中にスペースを開けて、改めてそこへ午後のお茶を置く。そして一歩下がって、お茶を載せてきたお盆を机の脇に置くと、椅子に座った長谷部のほうに向き直る。
 「あの、お部屋の鍵を掛けておいても宜しいでしょうか。内密に話しをしたいものですから。」
 「え、ああそうだね。掛けておいてくれるかい。それだったら、在室中のランプも消しておいたら。」突然の提案を不審に思いながらも、長谷部も何かを期待してしまうのだ。
 執務室への入り口の錠を内側から掛け、「在室中」を示すランプのスイッチも部屋の内側から切ってしまう。これで、長谷部を訪ねてきた者が居たとしても、ドアをノックされることもない筈だ。
 それから今度は部屋の中央に向かう。長谷部の執務机と応接用のソファがおいてあるほうの丁度中間で、部屋のほぼ中央にあたる。そこは部屋の隅にある監視用カメラを背に立って、執務机に居る長谷部が真正面に映る位置なのだった。

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