騙された新人女優とマネージャー
第四部
七十三
「い、いやよ。貴方なんかに身体をまかせたりはしないわ。触らないでっ・・・。」
その時、茉莉は玄太の背後で由里が棚の上に置いてあった置物のブロンズ像を持ち上げて将に玄太の後頭部に振り下ろそうとしていた。その姿につい茉莉は視線を動かしてしまう。
「ん? 何だっ・・・。」
茉莉の視線に気づいた玄太が振り返るのと由里がブロンズ像を振り下ろしてくるのがほぼ同時だった。一瞬の差でブロンズ像は玄太の頭を掠め肩の部分に打ち当たる。
「うっ。痛てえなぁ・・・。てめえ、誰だっ? 何しやがるっ」
「し、しまった・・・。」
空振りに終わってしまった一撃を今度こそと再度振りかぶる由里に対して玄太は痛む肩を押させながら横に身体を滑らせる。由里は玄太相手に真正面に向き直って手にしたブロンズ像を構え直す。しかし真正面に向き合った状態では由里の方に勝ち目はないのは明らかだった。
振り下ろした由里の二撃目は今度は玄太の身体に当てることすら出来ずに大きく空振りに終わり、その直後にはその手を玄太に抑えられ捩じ上げられてしまう。
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