巡査表彰

妄想小説

牝豚狩り



第九章 想定され得ぬ事態

  その8



 車が大きく揺れて停まった。キングという大男がバンの後ろに廻ってきて、後部ドアを開け、美咲を引き摺りだす。美咲は逃げられないように鎖のついた首輪を嵌められてしまう。その鎖の片側は大男にしっかり握られている。
 「もう、そのガムテープは剥がしてやれ。」
 クィーンが指示を出す。その声を聞くや、小男が小躍りして近づいてきた。
 「ガムテープを剥がすのは、俺にやらせてくれ。おい、こっちへ来な、姐ちゃん。」
 美咲は女性としては背が高いほうだ。小男は美咲の肩ぐらいしかない。その美咲におじぎをさせるように、髪を引き掴んで、無理やり腰を屈ませる。
 「ムムム・・・。い、痛いっ・・・。」
 無理やり口のガムテープを引き剥がされ、苦痛に顔を顰める美咲だった。
 「おい、キング。そしたら、女を例の場所へしょっぴいて行け。」
 クィーンは三人のアシスタントの中でも司令塔で、次々に指示を出していく。首輪に繋がれた鎖で牽かれながら、美咲は周囲の様子を見渡す。不気味な錆びて朽ち掛けた高い鉄塔が近くにあった。それは嘗てテーマパークのシンボルタワーとして建設途上で打ち捨てられた残骸だった。
 美咲には、そんなことを知る由もなかった。
 男達が美咲を連れてきたのは、これも朽ちかけていた実物の電車の前だ。テーマパーク内を巡る乗り物として運ばれてきたものだったが、線路が完成する前に計画が中止となり、そのまま放置されてあったものだ。窓という窓のガラスは全て砕かれていて外側の壁部分には、落書きのペンキの跡があったが、それすらも既に剥げかかっている。
 美咲は、ドアの前に置かれていた踏み台を伝って、車室内に引っ張り込まれた。元は普通の電車だったようで、吊り革がまだぶら下がっているが、シートは取り外されて閑散としている。キングと呼ばれた男は、車両のほぼ中央付近にある吊り革のひとつの輪の中に手にした鎖を通すと引き絞ってドア横の手摺のパイプに繋ぎとめた。美咲は吊り革の直下に吊られた格好で身動き出来なくなってしまった。
 「おい、手錠を外すから、おとなしくしてろ。どうせ首輪で逃げれないんだ。大人しくしてれば、痛めつけはしないが、逆らうと容赦しないからな。」
 小男がそばに来て、美咲にそう声を掛けた。そして美咲の後ろに回りこむと手錠の鍵を片方だけ外す。それを大男が受け止めると、首を吊っている吊り革のひとつ横に開けたほうの手枷を嵌めてしまう。
 「さ、こっちもだ。」
 そう言って、小男は尻のポケットから出したもう一つの手錠を、美咲の外したばかりの手首に嵌め、大男に渡す。大男は、こちらの端も反対側の吊り革に嵌めてしまう。美咲は両手を吊り革からぶら下げる格好で大の字に繋がれてしまった。
 「さて、これで準備が出来たか。おっと、オムツが嵌めたままだった。そんな格好じゃ、興ざめだからな。今のうちにパンティに穿き替えさせておかなくちゃ。おい、ジャック。お前、やりたいんだろう。」
 そう言いながら、クィーンはどこから持ってきたのか、手にしていた白い薄手のショーツを小男に手渡す。小男はにやにやして嬉しそうだ。美咲の真正面に立つと、そのショーツを広げてかざしてみせる。
 「オムツを外して、パンティを穿かせてくださいって、頼むんだ。」
 美咲は恥かしさに横を向いて答えない。
 「そうか、そんなに反抗的になるなら、ノーパンにしてやる。ほれ。」
 そう言って、美咲の短いスカートを両裾から上へ持ち上げる。するっと白く膨れた紙オムツが丸出しになる。男は両脇の留めテープをさっと外すと、紙オムツを引き剥ぐように奪い取る。
 薄い恥毛の股間が男達の前に丸出しになる。

車内凌辱

 「嫌っ、やめてっ。お願い、下着をつけさせて。」
 外したばかりの紙オムツの内側の臭いを嗅ごうとしていた小男がにやりとする。
 「最初からそうお願いしろって言ってるのに。ま、いいか。さ、足を片っ方ずつ上げて。」
 そういうと、ショーツを広げて片足ずつ通し、上へたくし上げる。ショーツを穿かせてしまうと、短いスカートを元に戻す。
 「そういう格好からスタートしなくちゃ、お客も詰まらないだろうからな。」
 「お客・・・?」
 美咲は初めて聞く(お客)という言葉に、敏感に反応した。
 「そうさ、これからやる痴漢ショーのお客さ。ちなみに痴漢役は最初は俺がやってやるからな。楽しみにしておけよ。」
 美咲は男達の言葉に、これから自分が受ける辱めを予感した。両手の自由を奪った格好で、車両の中で痴漢の真似をして、それを客達への見世物にしようとしているらしい。痴漢退治をした婦人警官を逆に痴漢して辱め、溜飲を下げようというのだと悟った。
 美咲は心の中で、冴子に早く助けに来てくれるように祈っていた。冴子たちがやってくる気配は今のところ全く感じられない。制服に縫い付けてあった発信機は役に立っていない。
 (まさか、撒かれてしまったのだろうか。このまま、こいつらや客という連中に思う存分、嬲られ、蹂躙されるのだろうか・・・。) 
 美咲の思いはどんどん不安に駆られていくのだった。

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