妄想小説
牝豚狩り
第八章 思いがけぬ手掛かり
その3
池脇真緒は、一週間ぶりぐらいで家の門を入ろうとしていた。彼女も国仲良子と同じように、地方の郊外にあるラブホテル専門のモーテルで解放されたのだった。連れ去られる前にエーテルを嗅がされ、気を失って気づいた時にはもうホテルの部屋だった。
テーブルの上に置かれていた自分の携帯の履歴を観て、男等が母親、部活の顧問、そして友達にまで嘘のメールを打っていることを知った。しかし、その嘘どおりのことがあったと取り繕う他ないことを悟っていたのだ。
母親の幸江は、娘がやつれた表情で玄関口に茫然と立っているのを発見して、まずは安堵の胸を撫で下ろした。
「もう、諦めがついた。剣道はこれで止めるわ。お願いだから、もう一切、剣道のことは口にしないで。」
母親の目を見ずに、ぼそりと娘は口にする。その娘の両手首が痛々し気に白い包帯が巻かれているのを幸江は目敏く見つける。
「これは、特訓の練習の傷。たいしたことないわ。大袈裟に巻いているだけ。もう部屋へ行く。」
本当はまだずきずき痛む手首に荷物を抱え、真緒は二階の自分の部屋へ向かった。
ドアを閉め、内側からロックを掛けてから、ベッドに腰掛けると、手首の包帯を解いてみる。
まだ、赤く爛れたようになったミミズ腫れの痕は引いていなかった。その両手首を目の前に掲げて見ていると、自然と涙が頬を伝って流れ落ちた。
あの日、失禁して濡れた袴を引き摺るように不自由な片手でつかんだまま、真緒は最初に試技をさせられた広場まで引き立てられ、片脚で吊られた樹の枝に首に掛けられた縄で繋がれたのだった。真緒を捕獲しそこなった二人の男は、ギャラリーとして少し離れたところから見物していた。
真緒を連行してきた男は、最初に、首に掛けた縄を樹の枝に通して、真緒を逃げられなくした。
そうしておいてから、不自由な格好に括り付けられ、かろうじて袴の端を掴んでいたほうの手の甲を、竹刀でしたたかに打ち始めたのだった。
その痛さに耐えかねて、握っていた袴の端を離さざるを得なかった。袴がするっと足元に落ち、股間の茂みが男達の前に露わになると、ギャラリーたちが喝采の奇声を挙げた。真緒の左手はぐるぐる巻きにされた胴体の縄に括りつけられていたために、手で股間を隠すことも叶わなかった。
下半身が丸裸にされてしまうと、男は竹刀を股の間に突っ込んできた。両腿をこじ開けられ、股の間に通されてしまったのだ。
そして男は、傍で見ていた男達に手伝うように声を掛けたのだった。
「ただ、観てるだけじゃ、つまらないだろう。お前らにも手伝わせてやるよ。こっちへ来て、竹刀の片方を持ってくれ。」
男が声を掛けると、二人は相好を崩して走り寄ってきた。
片方の男が真緒の股間に通された竹刀の先をしっかり掴むと、二人がかりで捩じ上げながら、真緒の股ぐらを持ち上げにかかった。真緒は堪らず、爪先立ちになって堪えようとするが、男達は容赦なく、竹刀で股間を擦りあげてくるのだった。
「あうう、痛いわ。許して・・・。」
涙を流しながら堪えていた真緒だったが、堪え切れずに声を挙げた。その様子に傍に立っていたもう一人の男は、たまらなくなってズボンを脱ぎ、パンツも脱いで下半身裸になる。男のものは、勃起して天を向いている。
一人がズボンを脱いだのを見て、竹刀を持っていた二人も片手でベルトを外して、ズボンを下ろし、三人揃って下半身だけ裸になる。三人それぞれに股間の中心は屹立している。
「おい、そこにグリセリンがあるから竹刀の上に垂らしてくれ。」
真緒を捕えた男が命じると、竹刀を持っていない男が屈んで、何やら壜を取り上げる。竹刀の上に、ねばねばした透明の液体が注ぎかけられ、竹刀から滴り落ちる。
「痛いだけじゃ、可哀相だからな。ちっとは気持ちよくさせてやるぜ。」
グリセリンを塗りたくったばかりの竹刀で真緒の股間が擦りあげられる。真緒の股間がぴちゃぴちゃと卑猥な音を立て始めた。
「あうう・・・。」
痛くはなくなったものの、惨めさは一層増した。激しい刺激が真緒の理性を麻痺させようとしていた。
「ああ、駄目っ。変になってしまう。」
真緒は身を捩るようにして竹刀を股で挟みこもうとする。
「ほれほれ、股をもっと広げろよ。そうか、そんなら股をおっぴろげさせてやろう。おい、竹刀と縄を持ってこいよ。女剣士なんだから、竹刀を使って辱めてやらないとな。」
男たちは、一本の竹刀を真緒の足元に置くと、両足首に縄を掛けてそれを竹刀の両端に括り付け、真緒の両脚を無理やり開かせてしまう。大きく股裂きにさせられて立たされている真緒の元へ50cmほどの太い丸太の端切れが転がされてくる。以前に冴子を一晩晒し者にするのに使われたものだった。
男たちは脚を開かせた真緒の身体を持ち上げて1mほど間隔を開けて置かれた丸太の上に真緒を立たせる。真緒には、倒れないように立っているのがやっとだった。
脚を開いて立つ丸太の丁度間に男たちはスコップを持ってきて小さな穴を掘る。50cmほど穴が掘れたところで、そこへ竹刀を柄から突っ込むと再び土を掛けて竹刀を半分近く地面に埋め込んで固定した。埋め込まれた竹刀の先は、足を広げて立たされている真緒の股間を狙うかのようにぴたっと指している。
男達はさらにその埋め立てられた竹刀の先っぽにコンドームを被せ、上からドロリとしたゼリー状のグリセリンをたっぷり塗りたくる。
すっかり準備が終わると、男達それぞれが脱ぎ捨てたズボンから革のベルトを抜き取って手にする。真緒はその後で告げられた非情な宣告に、顔を蒼褪めさせるのだった。
「これから鞭打ちの刑に処する。ただし、刑を免れる手段を与えてやる。その足元の竹刀の先を自分からしゃがんで股間に突っ込んだら鞭打ちは止めにしてやる。なに、簡単なことだ。膝を折って、ゆっくり腰を落とせばすっぽり股間に嵌るように固定してある。鞭が嫌だったら、最初からしゃがんでもいいんだぜ。」
「嫌っ、そんなこと。絶対に嫌です・・・。」
真緒は恐怖に膝をがくがく震わせていた。しかし男達は情け容赦しない。
「それじゃ、俺から一発目を行くぜ。」
パシーン。
小気味良い音が山の谷間に響き渡って、男が手にした革のベルトが真緒の剥き出しにされた白い尻を後ろから襲った。
「じゃ、今度は俺だ。そりゃあ。」
パシーン。
「あうううっ・・・。」
「それ、もう一発。そりゃ・・。」
パシーン。
「ゆ、ゆるして。こ、こんなこと、させないで・・・。」
真緒は涙を目に溜めて、男達に許しを乞う。が、男たちは真緒が降伏するまで鞭の手を休めるつもりは毛頭無かったのだ。
「ああ、もう駄目。」
がっくり首をうなだれると、そろそろと膝を折り曲げる真緒だった。大事な部分にグリセリンに濡れた竹刀の先が当たったのが感じられた。
「やっと観念したか。そらっ、思い切って奥までズブッとやってみせろ。」
恥かしさに真緒は目を開けていられなかった。目を伏せ、唇を噛み締めながら、ゆっくり腰を落とした。グリセリンのぬるっとした冷たい感触とともに、竹刀の先が真緒の股間の襞を滑っていくのが感じられた。
「ああっ・・・。」
真緒が、悔し涙にむせび泣くのと、男等の歓喜の声が上がるのが同時だった。
「あの、女子高生。何処の高校なんだい。セーラー服姿も見てみたいなあ。」
帰りの車の中で、首尾よく獲物を捕獲した男は目隠しをされたまま、ついそう口にした。頭の中で、何度も何度も、さっきまでの陵辱の様子を思い出しては、いい気持ちに浸っていたのだった。が、返ってきたサングラスの男の言葉はそんな思いを吹き飛ばさせてしまった。
「へたなことを知ってしまうと、命取りってこともあるかもしれませんよ。」
ドキッとして目隠しのまま、声したほうを向き直る。
「そ、それって、もしかして、あの自殺したって言われてる男のことじゃないよな・・・。まさか、やっぱりあの男・・・。」
「それ以上、何も言わないほうがいいですよ。」
「わ、わかった。何も聞かなかったことにしてくれ。もう、何も言わない。」
男は初めてサングラスの男に、恐怖を感じたのだった。
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