nippled

アカシア夫人



 第七部 罠と逆襲




 第七十九章

 男が再生ボタンを押すと目の前のスクリーンに動画が大きく映し出され始める。男はいつも愛用しているリクライニングチェアにふんぞり返って脚は大型のオットマンに乗せた上で寛ぎながら画面を注視している。
 画面上に女が男に連れられて出て来る。女の両手は後ろ手に拘束されているらしい。しかも首にも何やら首輪の様なものが嵌められている。女はスリップ一枚の格好で、裸に近い。男が女の首輪に縄を通し、頭の上のフックに通した後、前面にある手摺りのようなものに縄の端を結びつけるので、女は首輪で吊られた格好で繋がれたままになるのだった。

 暗い中で不鮮明だった映像が、照明が灯され、女が姿がより鮮明に浮き上がって見える。女は闇の中で拘束されて繋がれていたのが、煌々と点く明りの中で放置されることになる。その姿を見ながら男は口元を歪ませてにやりとするのだった。

 煌々と照明に照らされて裸に近い格好で放置され、恥かしさに身悶えしている女の姿を眺めながら、男はその夜のことを思い返していた。
 寝室に仕掛けた盗聴マイクの音声で、自分を誘き出して罠に掛けようとしている話を聞いて、自分のほうが罠を仕掛けることを思いついたのだった。
 仕掛けは単純なものだった。自分を罠にかけて誘き出そうとしている場所はすぐに見当がついた。バルコニーの真正面にある潅木の茂みだ。そこに潜むであろうと考えているのはすぐに判った。するとそこへ背後から近寄ろうとするなら、何処を通りそうかは、間違えようもなかった。盗聴器からの声は何処に隠れて見張るかまで教えてくれていたのだ。
 あとは、その潅木の奥に仕掛けに使う黒い熊のぬいぐるみに縄を付けて、潅木の周りを何周か巻いておき、その縄を見えないように叢の下を通して山荘の横手まで渡しておけばいいだけだった。見張りが変化に気づきやすいように、潅木の枝に小さな光るテープを貼り付けておいたのも念の為だった。遠くから双眼鏡で見張っているとしたら、枝をちょっと揺すれば、枝の間できらっと光ってくれる筈だった。見張っているものが何かあると気づくきっかけになってくれればいいだけだった。後は縄を山荘の陰からこっそり引いて枝を揺らし、男が引っ掛かって忍び拠ってきて、首尾よく罠に掛かってくれたら、ぬいぐるみを引っ張って回収するだけのことだった。男には何か小動物が逃げてゆくように見える筈だったのだ。男はまんまと罠に嵌めるつもりで、自分から罠に引っ掛かってくれたのだ。
 圧巻は、バルコニーに繋がれた女が自由が利かない拘束された格好で、もがいて股を開いて足で縄を解こうとする姿だった。足を手摺りの上に載せた為にスリップの裾から股間が丸出しになって、無毛の割れ目を存分に楽しませてくれたのだった。

madam

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