tights

アカシア夫人



 第三部 忍び寄る男の影



第三十二章

 その夜も和樹は外泊だった。それも会社の社宅になっているアパートではなく、恋人の朱美の職場にほど近いラブホテルだった。勿論、朱美を伴ってのことである。
 「ねえ、もう試してみたの?」
 「試すって、何をだよ。」
 「まあ、惚けちゃって。この間教えた剃毛のことよ。」
 「ああ、その事か・・・。」
 「その口振りなら、もうしたって感じね。よくまあ、奥さんも従ったわね。」
 和樹はその時の首尾を思い返しながら、どこまで白状しようか迷っていた。
 「ちょうどいい口実があったんだ。あいつがちょっと後ろめたいと思うような事がね。」
 「へえ、それで・・・。」
 「それで、ちょっと問い詰めて、脅してみたんだ。そして二度と変な気を起こさないように貞操の証しとして剃り上げるってね。」
 「へえ。奥さん、へんな気を起こしたんだ。」
 「まさかね。でもそう疑われても仕方ないようなことさ。」
 「疑いを掛けられただけで、剃毛されることを受け入れたの?」
 「だって、縛り上げられていたからね。それに鞭も与えたし・・・。」
 「へえ。縛って、鞭もね・・・。和樹チャン、なかなかやるじゃん。」
 「お前が教えて指導してくれたんじゃないか。」
 「まあ、そうだけど。ねえ、奥さんって、どんな人?今度逢わせてよ。夫にシモの毛剃られちゃって従順にしてる奥さんってどんなだか観てみたいわ。」
 「駄目だよ、絶対・・・。変な想像、すんなよ。俺達、夫婦の事。話すんのはこのラブホテルのベッドでだけ。」
 「いいわ。わかったわよ。でも結果はいろいろ教えてね。」
 「そうだな。じゃ、剃毛の次のステップはどんなのがあるのさ。」
 「ふうん、そうねえ・・・。ね、あんたのとこってどんな所なの。」
 「どんなって・・・。周りには殆ど家とか無い山奥だよ。山奥の別荘地の一軒家。」
 「ふうん、そう・・・。じゃあ、屋外放置なんていいかもね。もう縛られるのは慣れているみたいだし。」
 「屋外放置かあ。木に縛って一晩置くとか・・。」
 「そう・・・。でも、待って。それなら、まず最初から屋外じゃなくて、徐々にがいいわ。そう、最初は屋内。次にバルコニーとか。そして、慣れてきたら裸で縛って、外を歩かせて。勿論、最初はコートを羽織らせて、その下は全裸って感じね。」
 「ふうん、なるほど。」
 「ただ放置じゃ駄目よ。すぐに厭きるもの・・・。そう、おしっこ、我慢させるんがいいわね。」
 「ええっ、スカトロとか、そういうの。嫌だな。後始末とか大変だし・・・。」
 「最近はいいのがあるのよ。大人用のおむつ。それを嵌めさせて限界まで我慢させるの。」
 「そんなの、嵌めてくれるかな。」
 「何言ってんのよ。剃毛の時と同じじゃない。騙すのよ。」
 朱美の指導はどんどんエスカレートしてゆくのだった。最近では、朱美とラブホテルにしけこむのは、朱美とのセックスの為ではなく、妻の性的調教の指導の為なのだった。

madam

  次へ   先頭へ



ページのトップへ戻る