理科室の悪魔
第三部
六十一
その性教育授業の時間はあっと言う間にやって来てしまった。何時ものように教壇に立った美津子だったが、すぐに朱美と悦子が何時もとは違う最後列の机に移っていることに気づく。誰かと席を代わって貰ったらしかった。しかしそれには気づかない振りをして美津子が授業を始めることにした。
「えーっと、それでは授業を始めます。今日も皆さんからの質問を受けることで授業を開始したいと思いますが、何か質問がある人は居ますか?」
教室内は一瞬、しいんと静まり返る。
(どうか、変な答えにくい質問が出ませんように・・・。)
祈るような気持ちで生徒からの質問を待ち受ける美津子だった。
「先生っ。いいですか?」
一人の生徒が手を挙げる。それは朱美でも悦子でもなかったことで美津子は一瞬安堵する。
「はい、どうぞ。」
「先生は前回の授業でオナニーは男性との性行為を将来する上で大事な準備になると仰ってました。それと不用意に性器の中に指を入れたりしては性器を傷つけることにも繋がりかねないとも仰ってましたよね。」
「え、ええっ・・・。確かそう言ったと思うわ。」
「だったら、どういうやり方が安全で正しい自慰の仕方なのか教えてくれませんか?」
「えっ? オナニーの仕方をここで教えろって言うの? そ、それは・・・。」
(そんな事、出来る筈ないでしょ)ときっぱり言い跳ねるつもりの美津子だったが、その時何時の間にか最後列に居た悦子が更に後ろに下がって立ち上がっていて両手に何やら翳しているのに気づいた。片方の手に持っているのは一枚の写真で、もう片方の手で掲げているのはカセットテープレコーダーなのだった。悦子が持っているのは遠目にも先日、両手を縛られた状態で見せられた美津子自身が大人の玩具の店に入っていく直前を写した写真に違いなかった。それに気づいた時に、悦子がもう片方の手で翳しているカセットレコーダーは自分が本間加代子に個人指導した時の音声か、もしくは加代子に縛られている時に乱入されて色々白状させられた時の音声が入ったものに違いないと気づいたのだった。すぐに朱美の表情を窺うと、挑戦的に腕組みをして顎で(美津子に言うとおりにしろ)と無言で指図しているのが分かった。
「うっ・・・・。わ、判ったわ。正しいオナニーのやり方は貴女たち若い女性にはだ、大事なことよね。じゃ、簡単に私がやってみせます。えーっと・・・。片方の手は股間の陰唇の上に置きます。そしてもう片方の手は自分の乳房の方に当てるといいと思います。陰唇だけの刺激では最初は感じにくいと思うので同時に乳房の・・・、特に乳首の部分の刺激するといいと思います。」
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