ロープ吊り

妄想小説

プール当番



 第二章 プール倉庫での悲劇


 ひんやりとしたコンクリートの床の冷たさを頬に感じて、圭子は気がついた。頭がずきずき痛む。目を開けても何も見えない。手で目をこすろうとして、手首に何かが捲き付いていて、自由が効かないのに気付いた。両手が左右両方から縄のようなもので繋がれているらしい。圭子は大の字の様になってコンクリートの床に寝ていたのだ。目が見えないのは目隠しをされているらしいことが判った。
 腰をすぼめてみると、足首が引っぱられる。足首にも縄が繋がれているらしい。しかし、手ほどは引かれていないらしく、多少の自由があった。自分では確かめることの出来ない脚の乱れを気にして、両脚をすぼめ、立ち上がろうと試みた。
 足と足を少し広げた格好なら何とか立ち上がることが出来た。目隠しを取ろうと顔を手首のほうへ寄せようとするが、両腕を左右に広げさせられて固定された状態では、首が手首までどうしても届かない。
 (だ、誰かっ・・・。)
 しかし、圭子の悲鳴は声にならなかった。

 圭子は自分の今の状態を考えていた。
 誰かに襲われて、自由を奪われているのは間違いない。しかし、自分が今、どんな格好で居るのか、スカートはまだ穿いているのか、下着を付けているのかすら判らないのである。うかつに声を上げて、人が来たらどうなるのかも判らなかった。

 圭子は何とか逃れられないかもがいてみた。が、手首を足首を繋ぐ縄はがっしりと括り付けられているようで、すこしもゆるむ様子がない。

 その時、背後でガチャリという音がした。空気がすうっと流れて、ドアが開いたことを感じさせた。
 「誰、だれか居るの。」
 圭子はそっと言ってみる。が、答えは返って来なかった。
 突然、圭子の手首を繋いでいる縄がぐいと引かれた。今までより、更に高く引っ張り上げられるようになった。次いで反対側の手も上へ引かれる。必然的に圭子はバンザイに近い格好で両手を広げさせられた。
 更には足首を縛っている縄までもが、じわりじわりと引かれだした。圭子は慌てた。倒れないように立っているのがやっとで、脚を次第に開かされてゆくのを抵抗もしようがなかった。
 「い、嫌っ。やめて。」
 しかし圭子の懇願もむなしく、圭子は大きく大の字に開かされてしまった。まったくの無防備といっていい格好である。圭子の両方の太股の内側がぴんと張りつめる。

 その張りつめた太股を支える腰のあたりに突然、男の手がかかった。後ろから両手を伸ばして腰骨のあたりをさするように触ってきた。圭子は身体をびくんと震わせた。が、逃れる術はなにも無かった。
 男の手は、薄いワンピースの上から圭子の肉体の感触を楽しむように、ゆっくりと力を込めたり弛めたりしながら、撫で回している。腿のあたりに短いスカートの裾の衣擦れの感触がある。それが次第に上へ捲れ上がってきているのを感じた。
 (まだ、服は脱がされてはいなかったんだわ。)
 しかし、今のこの状態では、それは何の意味ももたなかった。

 後ろから回した片方の手が、しだいに圭子のスカートの上から、中心部分へ移ってきた。圭子は逃れようともがくが、どうにもならなかった。男の手の平が圭子の股間部に当てられた。動けば、その手を刺激してしまいそうで、ただ圭子は為されるがままにじっとしているしかなかった。

 男のもう片方の手がへそのあたりからゆっくり圭子のワンピースの上を撫でながら上がってきた。
 圭子は自分の胸が特に大きいとは言えないまでも多少の自信をもっていた。その豊かな膨らみの真ん中を指がまさぐりながら上がってきて胸元の肌に直に触れた。
 男はゆっくりとワンピースの胸元の前ボタンをひとつずつ外して行く。
 (脱がされるのだ。)
 圭子はそう観念した。

 胸の下のへそのあたりまである前ボタンは総て外され、男の手は胸の膨らみのすぐ下の裸の肌に当てられ、下からブラジャーを押し上げるように乳房をまさぐってきた。
 股間に当てられた掌の中指に少し力がこもる。そしてそれは必然的に圭子の秘所の部分をスカートと下穿きの上から押し割るようになる。
 (うっ、. . . )
 思わず声が洩れそうになるのを必死で堪えた。

 次第に圭子は、自分の身体が反応してくるのではないかと心配になった。こんな扱いを受けて濡れてくるとしたら、あまりに惨めだと思った。
 更に、圭子は自分の下穿きの汚れも気になってきた。ゆうべ替えたままである。裏側が汚れていないとは思うが自信が無かった。これから先、男の脱がされてゆくのは間違いないだろう。その時に下穿きの汚れも見られてしまうだろう。圭子は、自分の身体を見られることよりそのほうが気になっていた。

 しかし、圭子の心配とは裏腹に、たっぷり愛撫を楽しんだあと、男の手は圭子の身体を離れた。スカートの前が持ち上げられたような気がした。太股の前部がすうっとする。
 何かがボタンの外されたワンピースの割れ目につっこまれた。圭子はスカートの裾が捲り上げられてつっこまれたのだと感じた。大きく開いた脚の間に白い下穿きを丸見えにさせているに違いなかった。

 パシャっという音がして、目隠しされた圭子の目にも閃光が走ったのが分かった。
 (写真を撮られているんだわ。)
 それはあられもない格好の筈だ。裸に剥かれていないものの、誰にも見せたくない辱められた格好だ。
 パシャっという音はしばらく続いた。下から閃光が走るのを感じる。開かされた脚の下からも大写しで写真を撮っているようだった。

 ひとしきり写真が取り終わったところで暫く沈黙の時が続いた。
 突然、圭子の頭に男の手が掛かった。片方の手が圭子の肩から首にかけて抱きつくように掛けられてきた。何をされているのか見当もつかない。

 急に、目隠しが取り払われた。目の前が明るくなったと思った瞬間、目の前でフラッシュが焚かれた。圭子は何がなんだか分からなかった。フラッシュの残光で目がちかちかして何も見えない。その背後でドアが閉まる音がした。

tbc


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