妄想小説
恥辱秘書
第十五章 地位の逆転
七
暗がりは怖いので、走って通り抜けようとした裕美は、突然後ろから抱きつかれるようにして男の襲撃を受けた。あまりの思いがけないことに声も上げなられない裕美だったが、悲鳴を上げたにしても、それを聞き止める者は近くには居そうもなかった。
「嫌っ、誰。何をするの。」
やっとのことで声を上げた裕美だったが、既に身体は木立の下の芝生に押し倒されていた。男は裕美の上に馬乗りになり、手首を掴むと背中にねじ上げて裕美の自由を奪う。すかさず男の片手が裕美の口に何かを押し付けてきた。ハンカチのようなものを無理やり口の中に押し入れられた。声がくぐもると男は手を裕美の両方の手首にまわし、力いっぱいねじって背中に合せさせると何かで縛り始めた。裕美はもがきながら後ろを振り返るが、男は暗い中で、顔にはパンストをすっぽり被っていて顔つきはみえない。
裕美の手首を縛っているのは、顔に被っているのと同じパンストだった。それを思い切り引っ張って伸ばし、裕美の手首にぐるりと巻いてから括りつけると、裕美は完全に無防備にさせられてしまった。口に押し込まれたハンカチすら吐き出すことも出来ない。
男は裕美の自由がきっちり奪われたのを確認すると、馬乗りの格好から一旦立ち上がった。うつ伏せの状態で手を縛られた裕美は、男が立ち上がったので、縛られたまま身体をひねって仰向けに向き直る。
目の前に男が立っていた。顔はパンストで隠されてわからない。裕美は(犯される)ことを予感した。
男がゆっくり裕美の足元に近づくと、裕美の足首を掴んだ。男の手の力は強かった。簡単に股を大きく広げされされてしまった。男が裕美のあられもない股間をみて、息が荒くなっているのを感じる。男は片手を離し、自分のベルトを緩め、ズボンのチャックを下ろす。そして、ズボンとパンツを一緒にを膝まで下ろすと、首をもたげ始めている男根に手を当てた。
裕美は観念して犯されるのを享受するような格好で脚を開いていた。男はおとなしくなった裕美の姿に安心しきっていた。裕美の股間のものを剥ぎ取ろうとして身を屈めようとしたところに、一旦曲げてちぢこめた裕美の足が思いっきり男の股間を蹴り上げた。
「うっぎゃあ~。」
男は股間を抑えて倒れこみ、もんどりうって転がった。その隙を逃さず、裕美は縛られたまま、何とか立ち上がって公園の端めがけて走り出した。一刻の猶予もないと裕美は思った。男に追いつかれたら、縛られた両手のままでは抵抗しようもない。誰か人が居るところへ一刻も早く逃げ出さねばと、ハイヒールが脱げそうになるのも構わず、とにかく走った。が、その為に高いピンヒールが芝生の切れ目に入りこみ、足を取られてしまった。手の自由がないので身体のバランスを取ることも出来なかった。肩から地面に倒れ込んでしまった。
それでもなんとか立ち上がって、すぐに逃げねばと思った。が、その裕美の視界が突然奪われてしまった。何者かが、裕美の頭にすっぽり布で出来た袋のようなものを被せたのだ。袋の口には紐が通されており、それがぐいっと引かれて、絞り込まれ、結ばれてしまうと、もはや頭から振り切ることも出来なくなってしまった。
両手の自由は奪われている為に、それを引き剥がすことも出来ない。裕美は二の腕を掴まれ、
無理やり起き上がらされた。が、最早逃げることもかなわなかった。
裕美を襲ったパンストで顔を隠した男は、芳賀が変装したものだった。その首尾をタクシーから降りて見張っていた美紀は、芳賀が股間を蹴られてもんどりうつや否や、布の袋を手に裕美の下に近づいて転んだところを後ろから襲って視界を奪ったのだった。
次へ 先頭へ