粗相5

妄想小説

恥辱秘書






第十三章 新たなる調教の罠


 五

 視界を奪われた裕美だったが、ドアの音がして、見知らぬ闖入者が外に出たのが判った。ガチャリという音で、先ほど裕美がポケットから出して机の上においておいた、長谷部の執務室の鍵が掛けられたことがわかった。
 裕美は腰を屈めることも、脚を閉じることも出来ない。同じ格好で下半身がすうすうするのに立ったままで待つことしか出来なかった。
 身体の異変を感じたのは、独り残されてからすぐだった。身体が思わずぶるっと震えた。2リッタ近く飲まされたのは、純粋な水だけではない。芳賀が診療所から仕入れた強力な利尿剤が溶かし込まれている。女に尿意を催させ失禁を我慢するのに悶えさせるいつもの手段だった。
 一旦尿意を覚えると、それはどんどん強くなってきた。両脚を擦り合わせるようにして堪えていないと、洩れてしまいそうになる。闖入者は自分を身動きできない格好にしたまま出て行ってしまい、いつ帰ってくるか、帰ってきたら自由にしてもらえるのか、何もわからない。

 美紀が推し量ったように、裕美にとって、自分の上司の執務室で、それも普段座っている席の机の上で、自分が失禁をして小便を洩らしてしまうなど、あり得ないことだ。しかし、それを余儀なくさせてしまう事態が時々刻々と近づいていた。我慢の限界をもうじき迎えてしまうことは、紛れもないことだった。その後のことを、もう想像することさえ、裕美には許されないことに思っていた。もう何も考えないことにして、全てを投げ出して、生理現象に身を任せてしまいたかった。
 そんな時、ガチャガチャ音がして、ドアの鍵が開けられる音がした。裕美は再び脚をぐっとすぼめて、括約筋を引き絞るようにして我慢をする。
 闖入者は部屋に入ってきて、裕美の真正面に立ったような気がした。
 「もう駄目。我慢の限界です。許して・・・ください・・・。」
 そういうのがやっとだった。
 (だいぶ辛そうね。もう限界かしら。そろそろ楽にさせてやろうかしら。)
 美紀は、鎖の端を止めていたところを緩めた。裕美は首を引っ張っていた力が緩むのを感じ、思わず身を屈める。もう我慢が出来ない。中腰になれたところで、膝を大きく広げた。我慢していた力が一気に抜けた。

 バケツの底がけたたましい音を立て始める。それでも、滴りはすべてはバケツの中に落ちてはくれない。中腰の格好では、尿道口からバケツの底まではかなりの距離があるのだ。
 自分の足元で水飛沫が跳ねているのを、足元の肌に跳ね返ってくる雫で感じ取っている。が、裕美にはもうどうすることも出来ない。次第に楽になってゆくのに合わせて、股間のゆばりは勢いを失い、ぽたぽたとだらしなく滴り落ちるようになっても、なかなか終ってくれなかった。
 洩らしている間に、目隠しのアイマスクでも閃光が走るのを何度も感じ、パシャ、パシャという音がすることから、自分のはしたない格好が写真に撮られているのに気づいていた。しかし、だからといって、止めることもできなかった。

 美紀は裕美が取り返しのつかない粗相をしてしまったのを見届け、その一部始終をデジカメに修めてしまうと、撤収に取り掛かる。机の上のガラス板に溜まった小水に触れないように注意しながら、裕美の首輪を外し、天井のフックから鎖を外す。裕美の首を自由にしたところで、制服のポケットから取り出した裕美の手錠の鍵を裕美の頬に押し当てる。
 「な、何っ・・・。」
 突然の金属片の感触に、驚いた裕美だったが、ずっとそれが押し当てられているうちに、それが何なのか一生懸命考えようとする。押し当てられたものがすっと引かれて、その後、(ポチャリ)という音が聞こえる。
 (どうしたのだろう)と思っている裕美を尻目に、デジカメや首輪、鎖をバッグにしまうと、美紀は裕美を残して部屋を出る準備をする。最後にドアのところで、もう一度、裕美の惨めな姿を目に焼き付けてから、ドアを閉め、美紀は秘書室の裕美の席へ向かうのだった。

 誰かが出ていくドアの音と立ち去る足音を聞いて、裕美はこの事態を何とかしなければと考えだしていた。一人放置されていた時間を考えても、もう昼近くになっている筈だった。長谷部が帰ってくるまでに、何とかこの事態を収拾しなければならなかった。さきほど頬に押し当てられたものが何なのかは想像がついていた。そしてその後の水音から、それが自分の足元のバケツの中に落としこまれたのも、判っていた。自分がその窮地から脱する為には、その中に手を突っ込んでそれを拾い上げなければならないと思っていたが、なかなか勇気が出なかった。が、とうとう意を決してしゃがみ込んで、生温かいバケツの中身に指を突っ込んだ。出来るだけ指を濡らしたくなくて、そのせいでなかなかそれがつかめなかった。最後には諦めて、手の平全体をすっかり浸けこんで漸く鍵らしきものを掴み取ることが出来た。それを握り締めて腰を上げる。見えないまま背中の手錠をまさぐって、鍵穴を探すのだが、手探りではなかなか上手く行かなかった。焦ってガチャガチャやっているうちに鍵を取り落とし、足元の机の覆いガラスの上にガチャンと音と立てて落としてしまって慌てた。すぐに腰を落としてしゃがみ、手錠の手を伸ばして机の上を手探りする。小水が水溜りを作って濡れていたが、構っている余裕はなかった。もし、跳ねて机の下に落ちてしまっていたら、足首をロープで括られている為に最早どうやっても裕美には拾うことは出来なくなってしまうのだ。
 自分の撒き散らした小便の中を手をびしょびしょに濡らしながら鍵を求めて探っていてやっと、手に硬いものを感じたときには、どんなにかすくわれた思いがしたのだろうか。
 今度は慌てて鍵を取り落としても、机の下の床までは落ちないように腰を落として机の表面に近い位置で後ろ手にまさぐって鍵穴を探す。
 やっとのことでカチリと音がして、手錠が外れた。

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