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ナイトバーでの痴態




  五

 圭子はいまや観衆となった客たちには聞こえないよう、声を潜めて男に嘆願した。
 そこで、男の手の動きが止まった。が、それは決して圭子の願いを聞き入れたからではなかった。客たちに存分に楽しんで貰う為に、あと少しのところで焦らしているかのようだった。しかし、その中途半端な格好は、圭子にとっては地獄の苦しみとなった。中腰で頸の絞まりを気にしながら立つことも出来ず、座り込むことの出来ない状態でじっとしていなければならない。腿や脛の筋肉がぴんと緊張したままである。そんな格好は長くは持ち堪えられそうもなかった。履いているパンプスがピンヒールの高いものというのも、この筋肉の疲労を増長させていた。

 次第に圭子は両脚の筋肉の疲れて足首が痙攣ぎみに震えてくるのを感じた。
 (もう堪えきれないかもしれない。)圭子はそう思った。
 「お願い、もう無理よ。なんとかして。」
 圭子はなりふり構わず男にそう叫んだ。観衆にもその緊張感は伝わっていた。殆どの者が固唾を呑んで、圭子の動きを見守っていた。観客には暗闇の中にテグスは見えない。どうしてそういう格好をしているのかは見えないが、男の命令でそんな格好をさせられていることだけは、圭子の表情から見て取っていた。だが、だれもそれを助けようとするものはいない。皆がそれをショーだと思っていたのだ。

 薄く開いた脚が、がたがた震えてきた。もう腿の筋肉が張り詰めて攣ってしまいそうだった。
 「しゃがみたいの、しゃがませてって頼んでみなよ。大きな声でな。」
 圭子は口惜しさに唇を噛む。男の意図は充分過ぎるほど分かっていた。
 「分かったわ。お願いします。私をしゃがませて、く、下さい。」
 堪えきれず、圭子は男に懇願する。しかし、首を天井から吊っているテグスが緩む前にまず圭子の両膝を引っ張っているテグスのほうが更に強く引かれた。もう、圭子には抵抗する力も残っていなかった。大きくがに股に脚を開く。圭子の脚が大きく開かれたのを確認すると、男は天井からのテグスを緩め、逆にスツールの下から引っ張っているほうのテグスを静かに手繰り寄せる。圭子は男に操られるまま、大きく股を開いて、カウンタにしゃがみこむ。客席の男たちは全員、圭子の股間に視線が集中する。若干居る女性たちは、圭子のあられもない姿に顰蹙と侮蔑の眼差しで、が自分より美しそうな女が辱めにあうのを実は溜飲をおろす思いでこれも注視をやめない。

 圭子は脚をMの形に開いたまま、従ってその真ん中に白い下穿きを丸見えにさせて、尻餅をつくような格好でカウンタにへなへなとしゃがみこむ。背中で倒れないように縛られた手で身体を支えるのがやっとだった。
 「こんな大勢の人の前で、随分大胆な格好をするんだな。」
 男が立ち上がって圭子の前にはだかり、なじるように言う。
 圭子は悔しさに目を剥いて睨み付ける。が、自分の窮状を自分ではどうすることも出来ない。

 圭子が膝をカウンタに付いて、捲くれ上がったスカートを下ろそうとすると、すかさず男は圭子の首を上に引っ張りあげようとする。すると、仕方なく圭子は膝を立てざるを得ず、再びスカートの奥を丸見えにさせてしまう。圭子は観念して、首をうなだれて、下半身は(見たいだけ見るがいい)とばかりに大きく開いて恥ずかしい場所を開け広げる。

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