妄想小説
恥辱秘書
第十九章 奈落の出向先
四
裕美は上品にグラスが大きな音を立てないようにそおっと芳賀のグラスに自分のグラスを重ね合わせ、目の上に翳して無言で乾杯をする。芳賀は一口だけ水割りを含むとおもむろに自分のグラスを裕美の目の前に差し出す。
「ちょっとこいつを持っておいてくれ。」
咄嗟のことで、つい裕美は腿から手を上げて、グラスを受け取ってしまう。芳賀の視線で、裕美はうっかり下着を晒してしまったことに気づく。それで慌てて、自分のグラスをガラステーブルに置こうとするが、その手首を芳賀がさっと掴んだ。
「いや、駄目だ。飲み干すまでグラスは置いちゃいかん。そういう呑み方が俺の主義なんだ。」
自分はグラスを持ちもしないで、裕美の両手にグラスを持たせ、露らわになったデルタゾーンを隠すのを封じてしまう。
「うっ・・・。」
恥ずかしさに唇を噛み締める裕美は、自分がどれだけはしたなく下着を晒してしまっているのか確かめることすら出来ない。気づかない振りをして芳賀のほうを見つめているしかなかった。グラスには並々と水割りが注がれているので、迂闊に腕を下げる訳にもゆかなかった。芳賀の射るような視線が自分の股間に注がれているのを恨めしく思いながら、裕美は下着を晒し続けた。壁のほうのマジックミラーの向こう側からも裕美のパンティはずり上がってしまっている超ミニのスカートから丸見えになってしまっている筈だった。
「じゃあ、今度は違う趣向でサービスして貰おうかな。」
そういうと、芳賀はそれまで座っていたソファからおもむろに立ち上がると、裕美の隣のソファへ腰と腰がくっつくばかりに身を寄せて座り直す。芳賀の手は背中側から裕美の腰に回され、裕美が逃れられないように、腰骨のところで裕美の身体をがっしりと捉えてしまう。
「今度は口移しで飲ませておくれ。」
「えっ・・・。わ、わかりました。仰せの通りに。」
そう言うと、裕美は仕方ないという風に一瞬間を置いてから、芳賀が口を付けたグラスの水割りをゆっくり口に含む。芳賀はキスを受け入れるように少し首を傾げて上向きに顔を向けている。裕美は両手のグラスをこぼさないように気をつけながら、腰を少し浮かすようにしながら、芳賀のほうに顔を近づける。
芳賀とくちづけをすることは、普通なら吐き気を催すように思われたに違いないが、裕美はこれは自分に課せられた仕事なのだと何も考えないようにして、唇を合わせた。裕美がゆっくり口の中のウィスキーを芳賀の口の中へ注ぎ込むにつれ、何度か芳賀の喉が鳴るのが感じられた。
やっとのことで、口の中のものを注ぎ終えると、顔を背けようとするが、芳賀が腰に回した手がそれを許さなかった。
「ああっ・・・。」
やっとのことで、腰に回した腕の力が緩んだので、裕美は顔を離すことが出来たのだが、間を挟まず芳賀がお代わりを要求したのだった。つとめて嫌がる素振りを見せないように気をつけながら三杯目を口移しで飲ませたところで、芳賀は今度は自分が呑ませると言い出したのだ。相変わらず二つのグラスは掲げさせられたままだった。グラスを両手に持っている限り、裕美にはされるがままになる他はどうすることも出来ない。
裕美は芳賀に命じられるまま、手にした濃いほうのグラスを芳賀の口元でゆっくり傾けてゆく。芳賀が目配せでもういいと合図すると、裕美はグラスを自分のほうへ戻す。芳賀は口に酒を含んだまま、中腰で立ち上がる。そして、裕美の両肩に手を置いて、上から裕美に被さるように顔を近づけていった。芳賀の口移しは、裕美のに比べて性急だった。口から溢さないようにする為に、裕美は慌てて酒を喉に通さねばならなかった。しかも、その濃さは裕美にはきつかった。やっとのことで芳賀からの口移しの酒を飲み干した裕美だったが、今度も間を置かず、芳賀はお代わりを口に含ませるように要求する。
裕美は早くグラスを空にして、両手持ちの状態から解放して貰いたくて、少し多目に芳賀に含ませる。しかし、芳賀はその意図をちゃんと見抜いていた。
再び芳賀は中腰になって、上から裕美と顔と唇を合わせたのだが、今度は更に性急に裕美の口に酒を注ぎこんできた。当然、受入れる限度を超していて、裕美の唇の端から一部が零れ落ちる。それを合図にしたかのように、芳賀は唇を微妙にずらして、裕美の身体の真正面にわざと酒を垂らしこんだ。酒が流れていった先は裕美のスカートから露になってしまっているショーツのど真ん中だった。
「ああ、濡れてしまう。」
裕美が叫んだ時には、したたかに裕美はショーツを酒でびしょ濡れにされてしまっていた。
「あ~あ、こんなに溢しちゃって。下半身がびしょ濡れだね。あ、そのまま。両手が塞がってて、自分じゃ拭けないだろうから拭いてあげるよ。」
芳賀はそんな状況でも裕美がグラスを降ろすのを許さなかった。そして勝手に裕美のポシェットを手繰り寄せると、中から小さなハンカチを取り出し濡れた裕美の太腿を拭い始めた。
「ああ、済みません。私が粗相をしたのに・・・。」
そう言って身を任せるしかない裕美だった。
すぐに太腿の飛沫を拭ってしまうと、すっかり沁みこんでしまった裕美の剥き出しのショーツにハンカチを押し付け始めた。既に水分を吸ってしまって、こすり付けても拭える筈もなかったが、芳賀の手は執拗に裕美の股間をまさぐっていた。
「もう大丈夫ですから。」
そう裕美が言っても、芳賀はなかなか止めなかった。漸く裕美の股間から手を離した芳賀だったが、それだけでは済まなかった。
「すっかり浸み込んじゃったね。じとっとして気持ち悪いんじゃない?どう?」
そう言われて裕美は返事に困る。
「気持ち悪くない?どうなの?」
執拗に訊ねてくる芳賀に、裕美は頷くしかなかった。
「じゃあ、僕が脱がしてあげるよ。脱がして欲しい?どう?」
芳賀の調子は否が応でもそういわざるを得ない言い方だった。
「あの、じとっとして気持ち悪いので、脱がせて頂けませんでしょうか。」
「そうかい。じゃあ、そのままゆっくり立って。」
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