妄想小説
銀行強盗
四 放送局と所轄署の対応
その頃、謎の通報を受けたMBC放送局ではてんやわんやの騒ぎになっていた。電話を受けたのはアルバイトでアシスタントディレクターをしている桃子だったが、電話から聞き取った内容をメモにして担当ディレクターの元へ駆け込む。担当ディレクターは同じ番組をやっているプロデューサと共に編成局長の元へ走り込んでいた。
「で、その通報というのの信憑性は、どうなんだね?」
「それは今の段階では何ともわかりかねます。しかしこれがガセネタじゃなかった場合、かなりのスクープになることは間違いありません。」
「通報してきたのはその銀行の女子行員だったそうだね。」
「ええ。ADの桃子が言うには、かなり怯えているような様子だったそうで、犯人グループに言わされている雰囲気だったそうです。」
「で、ヘリを要請してるんだな。どう思う、君は?」
編成局長はプロデューサの和田を顎で指す。
「ヘリを要請してるってのは、おそらく逃走用でしょう。もし、その情報が本当だったという仮定の元にですが。ちょっとリスクはありますが、逃走用にヘリを使うことを要求してきた場合に備えてもう一台、ヘリをスタンバイさせておいたらどうでしょう。」
「ふうむ。そうか、君の判断に任せよう。現場へはカメラマン数人、キャスター数名を派遣しよう。具体的な人数と人選は君に全て任せる。」
こうしてMBC放送局のクルーが銀行へ向けて派遣することになった。犯人らしき者からの指示に従って警察への連絡はしなかったが、それは万が一の報道になった場合、スクープとして情報を独占する為でもあった。
一方の良子が所属する上窪署管内では、別のすったもんだが繰り広げられていた。署長の沢木は遅番で出勤する筈の刑事、水島良子巡査部長がまだ出署してきていない事、110番本部に不審な無言電話が掛かってきたこと、その番号追跡で、水島刑事が所持している筈のプライベート携帯の番号であること、部下の早崎巡査が水島が所持している筈の業務用携帯に掛けた所、繋がったのだが、全く無音のままだったことから、水島が何等かの事件に巻き込まれた可能性が高いとは判断していたが、肝心の水島が居るらしい場所の特定は出来ていないのだった。
そんな動きが外部で起こっている中、四葉銀行上窪駅前支店の内部では、支店長にシックスナインでのフェラチオを強要されていた良子が三度目の射精で漸く支店長の身体から解放されたところだった。支店長は50を超えた齢で、さすがに一日三度の射精でふらふらになっていた。三度目はかろうじてザーメンを出したものの、その前に萎え始めていて充分な勃起強度を保てておらず、洩れ流したに近い状態だった。良子のほうも、さんざん陰唇を舐め尽くされて自分が感じてしまうのを避けるのがやっとで、スカートが捲れあがった下半身全裸状態のまま縛られたまま、ほぼ放心状態で床に転ばされていた。
二階に居た犯人グループのうち外部の偵察を任されていたらしい男が降りてきてリーダーに耳打ちする。どうやら放送局のクルーが現場に到着し、銀行の向かいのビルにカメラを設置したらしいとの情報だった。それと同時に遠くからヘリコプターの物と思われる騒音が遠くから近づいてきているのが聞こえてき始めていた。
「ようし。こっちも準備を始めよう。おい、そこの女警官。いつまでも床で寝そべってないで、立上れ。お前にはまだやって貰う仕事があるんでな。」
リーダーはそう言うと、手下の男の手を使って良子を立上らせると、奪っていたパンティを穿かせる代わりにミニ丈のタイトスカートを剥ぎ取ってしまう。上着もブラウスも男二人に押さえつけさせて脱がしてしまい、下着のみの姿にさせてから改めて小手縛りに縛り直し、二階に引き立てて行く。二階の応接室は銀行が駅前ロータリー側に面している部屋で、ブラインドが閉められている。部屋の中央にはシャンデリアを取り付ける為のものらしいフックから縄が掛けられていて、良子はその縄に両手を縛った縄を繋がれ部屋の中央部に吊るされる格好にされてしまう。
「こんな事して、どうしようっていうの。貴方たち、どうやったって逃げられないわよ。」
「さて、それはどうかな。それじゃあ、向こうの準備が出来たみたいだから、お前のその格好をちょっと露出してやろう。ブラインドを薄めに開けてみろ。」
リーダーがそう指示すると、もう一人の男がブラインドの羽根を回転させて薄めに開く。良子には向かい側のビルの輪郭がうっすらと見える。もし、カメラなどで捕えられていたらと思うと気が気ではない。
「よし、いいだろう。ブラインドをもう少し閉じ目にして、微かにこっちの動きが感じ取れる程度にしておけ。」
良子には彼等の意図がどうにも汲み取れなかった。
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