看護5

妄想小説

恥辱秘書






第三章 奴隷たちの対決


 二

 二人はお互いに芳賀から呼び出しを受けていることは自分のことしか知らされていない。先に呼ばれていたのは美紀のほうだった。体育館の更衣室で待っているように言われていた。もう今では、芳賀の命令は絶対で、少しも背くことも許されない。会社の警備員に見つかったときに怪しまれないように秘書の制服であるタイトなスーツ姿で美紀は誰も居ない体育館に忍び込んだ。更衣室は以前に忍び込まされた男子トイレとは反対側の隅にあった。扉を入るとその奥に幾つかカーテンで仕切られた場所がある。その奥に芳賀は立っていた。顎で近くへ来るように促された。美紀は今日はどんな仕打ちを受けるのか不安にかられながら近づいてきた。カーテンで仕切られた中に入ると芳賀はカーテンをさっと閉める。壁際には鉄のパイプがレールのように張られている。以前にバレエの教室があって、そこでレッスンに使われていたものだ。ちょうど腰の高さよりちょっと高い位置くらいに横に据えつけられている。美紀が不審に思っていると、芳賀が突然美紀の右手首を掴み、尻のポケットから取り出した手錠を掛けてしまった。(あっ)と思う間もなかった。いつもは後ろ手錠で拘束するのを、今日は手錠の反対側をバレエのレッスン用のパイプに填めてしまったのだ。それからそばに用意してあったらしい、水のたっぷり入ったコップを美紀の前に差し出して飲み干すように強要した。それはコップというよりはジョッキに近い大きさがあり、たっぷり1リッターは入っているようだった。美紀にはこれまで芳賀から様々受けた仕打ちで、それに何が入っているかはうすうす感ずいてはいたが、拒むことは勿論許される筈もなかった。それは芳賀が晴江から無理やりせしめた強力な利尿剤が仕込まれてあったことは言うまでもない。
 美紀の腹が膨れてしまうほど、一気に飲まされるとジョッキを奪い、芳賀はカーテンを閉めて出ていってしまった。美紀は繋がれた自分の手首と手錠を見つめた。(このまま我慢の限界が訪れるまでこれを外して貰えないのだろうか。)美紀は自分が情けなかった。これまでも何度か美紀は芳賀の見ている前で放尿を強いられた。他のどんな責め苦よりも、プライドの高い美紀にはそれが辛く悔しく且つ惨めに思われるのだった。

 体育館の外で、晴江が看護婦の白衣で待っていた。体育館の陰に晴江を呼び寄せると、まず持ってきたジョッキの大瓶を渡し、飲み干すように命じた。晴江にもそれが何であるかよく分かっていた。しかも自分が診療所から盗んできた薬である。その効き目もよく知っていた。しかし、芳賀の前で拒むことは許される筈もなかった。

 飲み干すと、芳賀はポケットからアイマスクを取り出し、晴江に着けさせた。そして目の見えなくなった晴江の手を引いて体育館の中へ導く。勿論目指しているのは、更衣室である。体育館に入る前に、芳賀は晴江に誰か居るかもしれないから声を立てないようにと注意しておいた。
 芳賀が晴江を導いたのは、美紀を立たせているのとカーテン一枚隔てたすぐ横であった。声は立てないが、美紀はカーテンの向こうに人の気配を感じた。靴音から二人居るのが分かる。一人は芳賀だろうとは判った。が、もう一人が誰なのかは見当もつかない。美紀には、自分と同じ拘束具を嵌められ、しかもその秘密を芳賀に握られている者がもうひとり居るなどとは知る由もなかった。

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