接待4

妄想小説

恥辱秘書






第十一章 謀られた接待劇


 五

 沢村役を芳賀から頼まれていたのは、原洋次という芳賀の昔からの知り合いだった。原は以前に芳賀に助けてもらったことから、何かと芳賀を頼みにしていた。芳賀は悪巧みを手伝わせるのに重宝なので、頼ってくる原に何かと便宜を図ってやりながらも、手下として時々使っていたのだった。

 芳賀が原に示したシナリオは複雑だったが、役割としては単純な、それも美味しい役だった。大会社の購買部長など柄ではないと当初言ったのだったが、高そうな背広を着て、偉そうにしていれば充分それらしく見えると芳賀に言われてその気になったのだった。
 女をふたりもはべらせて只で酒を飲めて、少しなら女の身体に触ってもいいとは言われたのも、その気になった理由だった。偉そうな会社の重鎮が会社の金で酒を飲む時の気分というのも味わってみたかった。
 芳賀が原に身体に触れていいといったのは、勿論裕美のほうだ。それも胸に触れたり、スカートの奥や尻を触るのは厳禁だと言われていた。裕美が怒って帰ってしまったりしては、元も子もないからだ。しかし、さり気なく触ったりすることで、その後のことを裕美が勝手に想像するように仕向けることは必要だった。沢村が裕美のことを気にいって、身体を欲しがったのではと思わせる必要があった。
 秘密の倶楽部で別れてからの要領はさらにもっときつく言われていた。正体なく抵抗できない裕美の身体を預けるので、芳賀も慎重になったのだろう。下着を奪うこと、はしたないなりをさせて、その姿をデジカメに修めること、衣服を乱しておくことなどが、事細かに指示された。
 深堀美紀と帰ってゆく芳賀を見送ると、ぐったりしている裕美を担いで、駐車場へ向かった。店のボーイなどには芳賀から言ってあるらしく、何も咎められなかった。おそらくそういうことが頻繁に行われているのかもしれないと原は思った。
 途中で目を醒ますといけないからと車の後部座席に乗せた裕美に頭から布製の袋を被せ、両手を後ろ手に縛るようにも指示されていた。しかし目的地の郊外のモーテルに辿り着くまで裕美は正体無く寝入っていた。
 指定されたモーテルで指示された通り、車に裕美を残しておいて、チェックインして鍵を受け取ってから、非常階段で他人に見つからぬように部屋へ入るよう言われていた。証拠を残さぬよう、誰にも目撃されないよう、細心の注意を払うように言われていた。
 若し、途中で目を醒ましてしまったら、顔を見られぬように袋で頭を被ったまま、部屋へ連れ込み、クロロフォルムを嗅がせて再び寝かせろという指示になっていた。しかし薬を使うのは証拠になる懼れがあるので、極力避けるようにという注意もあった。
 首尾よく寝入ったまま部屋へ連れ込めたら、着衣を乱して下着を奪い、顔が写った写真をデジカメに撮ってから車に戻り、携帯で連絡するように言われていた。

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