妄想小説
料理研究家の誘惑
八
「覚悟はよろしいですね。」
珠代は慎平の問いには声を出さずにゆっくりと頷く。慎平は立て膝になって珠代の真後ろに蹲ると、手首に麻縄を巻いてゆく。
「うっ・・・。」
思わず珠代は口から切なそうに吐息を洩らす。
慎平は珠代の反応をひとつひとつ確認しながら、両方の手首にしっかりと縄を巻きつけると、一回、縄と縄の間に結び目を作ってから胸元に縄を回してゆく。着物の衣擦れが締め込まれていく戒めのきつさを語っているようだった。
「さ、どうです。今の気分は?」
「ウ、ウチは罪深い女どす。罪深い女にふさわしい格好にされたと思うとりますぅ。」
「貴方にはお似合いの格好かもしれませんね。ただ、罪深いかどうかは別です。」
「どういう事・・・、だっしゃろか?」
「罪深いというより、欲深いのかもしれませんよ。」
「欲深い・・・?」
「縛られて感じたいって欲望に打ち勝てないからですよ。」
「ウチは縛られると、よけ感じる・・・のだっしゃろか?」
「それはご自分が一番ご存じの筈ですよ。ふふふ。でも折角ですから、貴方の御希望に添うことにしますよ。」
そう言うと、慎平は余った縄束を座敷の真ん中を通っている太い梁に放りあげたのだった。梁に通した縄を慎平がぐいっと引くと、珠代は身体ごと縛られたまま引き上げられてしまう。
「ああっ・・・。」
(やめてっ)という言葉が出なかったのは、珠代がこれから起きようとしている事への期待が篭められているからに他ならないと慎平は思った。珠代が穿いた白い足袋が辛うじて畳に付く程度にまで吊り上げると、縄の端を床の間の柱に結び付けてしっかりと固定する。
「さあて。帯は外してあげましょう。」
慎平は慣れた手付きで帯締め、帯揚げと外してゆくといよいよ帯を緩めていく。シュッ、シュッという衣擦れの音が座敷に響き渡る。珠代は俯いて表情を出さないように努めている。
どさっと珠代の帯が畳の上に落とされる。前襟は抑えを失ってだらりと垂れ下がってしまうと下に着ている白い襦袢が露わになる。慎平はその襦袢を括っている伊達締めまでも緩めて抜き取ってしまう。
珠代は着物の時には下穿きを着けていないので、最早大事な部分を隠す術を失ったことを自覚する。そんな珠代の惧れを敏感に感じ取ったかのように、慎平はわざと着物の裾を襦袢ごと上に引き上げてしまう。
「ああ、そんな・・・。」
剃り上げられてしまったあの部分はまだ生え揃うには程遠い状態だった。剃り痕の毛穴さえもまだ青々とまではなっていない。陶磁器のような白い肌が縦の割れ目をくっきりと見せているのだった。
「ああ、まだ生えてきてはいませんね。旦那さんには見られてしまったんですか?」
恥ずかしさに珠代は答えることも出来ないが、夫にはまだ逢うことさえ出来ていないのが珠代には情けなかった。
「さあ、貴方が望んでいた折檻をしてあげることにしましょう。この邪魔な裾は絡げさせてもらいますよ。」
そう言うと、慎平は着物の裾を襦袢ごとたくし上げると胸を縛った縄の下に押し込んでしまう。珠代の白いつるんとした尻が慎平の前に丸出しにされる。
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