妄想小説
料理研究家の誘惑
三
「あうっ。な、何なさりはんのどす。」
慎平は身体で珠代を抑えつけたまま、器用に帯揚げを引っ張りだすと結び目を解いてしまう。
「この間、着物を着る仕事があってね。その時に、一緒に女性の着付の仕方も教わったんだよ。帯揚げっていうの、これっ? 手を縛るのにちょうどいいんだよ。」
「え、縛る・・・?」
「ふふふ。」
慎平は珠代の身体から帯揚げを剥ぎ取ると、珠代の身体を抑え込んだままうつ伏せにひっくり返し、その上に馬乗りになる。珠代から奪い取った帯揚げを背中に捩じ上げた珠代の手首に巻いていく。
「あ、あきまへん。そないな事っ・・・。」
しかし男の力には所詮叶う筈もなく、難なく珠代は両手首を帯揚げで後ろ手に縛りあげられてしまうのだった。
「さ、これでよしっ。」
珠代を縛り上げてしまうと、慎平はふたたび珠代の身体をひっくり返して仰向けにさせる。
「どうです。これでもう抵抗は出来ないでしょ。貴方は自分から男に身を任せたんじゃなくて、犯されたんですよ。これなら良心の呵責もないでしょ?」
「そ、そんな・・・。」
「いいんですよ。感じるままに、感じていれば。どうせ、貴方は縛られて何も抵抗出来ないんだから。」
そう言うと、慎平は今度は襟足の辺りから鎖骨の上を舌でなぞってゆき、喉元の部分を吸い上げる。めくるめく甘美な心地良さに珠代は思わず気が遠くなりかける。
「あっ、だめっ・・・。ううっ。」
珠代の喉元を吸い上げながらも、慎平の片手は着物の上を下へ下へと降りていく。その手が帯を通り過ぎて腰骨の辺りにやってくると、手繰るようにして着物の折り目を引き上げていく。
(あ、駄目よ・・・。おかしくなってしまうわ。)
そんな思いを尻目に慎平はどんどん着物をたくし上げていく。既に着物の裾はおおきく絡げて襦袢まで掻き分けようとしていた。しかし珠代にはそれを阻止するのになす術もない。
とうとう慎平の指先が裸の腿を探り当てた。珠代の身体がビクンと震える。しかしその先は帯が着物をしっかりと抑えつけているので、それ以上手繰り上げることが出来ない。そうと判ると慎平の両手が珠代の腰の帯に掛けられる。
シュル、シュル、シュルっと乾いた絹ずれの音が二人だけの部屋の中に響いていく。
(帯を解かれてしまう・・・。)
それが不安だけではなく、淡い期待が混じり始めているのを珠代は打ち消そうとして打消しきれないでいた。
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