理科室の悪魔
第二部
三十三
「これなんですがね。」
そう言って磯崎は同じ鍵の掛かる戸棚から取り出してきた薄ピンク色のゴム製らしい模型を出してきて美津子に見せる。
「実に精巧に出来ていましてね。曲がり具合なんかも本物そっくりでしょう?」
模型なんだと分かっていても美津子はそれを目の前に翳されてどきっとして注視することも出来ない。
「これ、ただ似ているだけじゃないんです。ほらっ、この鬼頭の先っぽ。皮が被さっているでしょ? これ、ただの皮じゃなくて二重の袋状になっているのですよ。」
「そ、そう・・・なんですか。」
美津子は何とコメントしていいか分からずただ戸惑うばかりだった。
「この模型の凄いところは・・・。ほらっ、こんな具合に陰茎の方真ん中辺りを握ってぎゅっと根元に当る方にずらしていくと・・・。」
「ほらっ、ね? ちゃんと剥けるようになっているんですよ。凄いと思いませんか?」
「そ、そう・・・ですね。」
「シリコンゴムが薄い袋状になっていて伸びるんですよ。でねっ。ほらこうして手を緩めると・・・。するするっと戻っていくんです。まさに芸術品ですよ、これは。さ、ご自身でも試してみられてはいかがですか?」
美津子は磯崎から目の前に翳されたものを半ば強引に手渡されてしまう。そのゴム製品は体温こそないものの、感触は生の肉棒そのものだった。そしてその感触は小学生時代に理科準備室で目隠しをされたまま握らされたあの時のことを鮮明に思い出させるのだった。
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